GMX GLP モデル|「トレーダーの反対側」を LP が背負う設計

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GMX GLP モデル|「トレーダーの反対側」を LP が背負う設計
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    本記事は技術解説であり、投資・税務・法務助言ではありません。判断は専門家にご相談ください。

    GMX は2021-2022年に Perps DEX で大きなシェアを獲得した。だが2024-2026年では Hyperliquid 等の orderbook 型に押されている(TVL・取引高の推移は DefiLlama、収益動向は Token Terminal を参照)。さらに GMX 自身も2023年8月に GMX V2 をローンチし、マルチアセット型の GLP からリスク隔離型の GM プールへ移行した。V1 の取引は2025年7月に段階的廃止され、GLP は新規流動性供給を行わないレガシー状態にある。本記事は事業者目線で「GLP 型 = LP がトレーダーの反対側を取る設計」の構造と、その限界を整理する。GLP はあくまで過去(V1)のモデルである点に留意してほしい。


    目次

    1. なぜ事業者がこれを理解する必要があるのか
    2. GMX と GLP の仕組み
    3. 2021-2022 ピークと、その後シェアを失った構造的理由
    4. 同型を採用した他プロトコルの軌跡
    5. 事業者が GLP 型を採用すべきか
    6. まとめ

    1. なぜ事業者がこれを理解する必要があるのか

    GLP モデルは「革新的に見えたが、構造的に弱点を抱えていた」典型例。同型設計を採用しようとする事業者にとって、過去事例から学ぶ価値が高い。


    2. GMX と GLP の仕組み

    GMX

    GMX は Arbitrum / Avalanche 上の Perpetual DEX。2021年ローンチ。トレーダーがロング/ショートを取れる Perps プロダクト。なお2023年8月の GMX V2 でリスク隔離型の GM プール(GM トークン)へ移行しており、以下で扱う GLP は V1(旧バージョン)のモデルである。V1 取引は2025年7月に段階的廃止された。

    GLP(GMX Liquidity Pool)

    GLP は「マルチアセット流動性プール」だ。USDC、ETH、wBTC、UNI、LINK 等が混在して入っている。事業者がこのプールに資産を預けると GLP トークンを受け取り、プールが生み出す収益(トレーダーの取引手数料 + トレーダーの損失)を受け取る。GMX V1 では、プラットフォーム手数料の70%が GLP(LP)に、30%が GMX ステーカーに配分される(出典: GMX Docs)。

    「LP がトレーダーの反対側を取る」とは

    通常の Perps:
    - ロング: 価格上昇に賭ける
    - ショート: 価格下落に賭ける
    - 両者がマッチング、勝者が敗者から取る

    GMX:
    - トレーダー(ロング・ショート両方)が GLP 相手に取引する
    - トレーダーが勝つ → GLP が払う
    - トレーダーが負ける → GLP が受け取る

    つまり「GLP は全トレーダーの反対側のポジションを集合的に背負う」設計。LP は「カジノの胴元」になる。


    3. 2021-2022 ピークと、その後シェアを失った構造的理由

    ピーク時の魅力

    • LP は「胴元」として手数料 + トレーダーの平均的損失を回収できる
    • 一般的にトレーダーの大多数は損失なので、LP は中長期で利益が出やすい
    • ローンチ時には「Real Yield(実需収益)」として注目され、TVL が急成長(出典: DefiLlama

    シェア低下の構造的理由

    理由1: トレーダー側の不満
    - トレーダーは GLP の組成(例えばステーブル群が約50%、ETH・BTC 等のブルーチップが残り約50%。Arbitrum では USDC ~43%・ETH ~28%・WBTC ~16% 等で、目標比率に応じて定期リバランスされ変動する)に依存して取引する
    - GLP の組成変動でスリッページが大きい
    - 大口取引で GLP が大きく傾く

    理由2: LP リスクの偏在
    - GLP は「カジノの胴元」だが、たまに大勝するトレーダーに大きく持っていかれる
    - 実際には2022年の約70%下落局面でも GLP LP はトレーダー損失分(累計で約 $10M の利益)から ETH 建てで20%超の APR を維持し、ネットでは黒字だった(出典: Sam Andrew, Substack)。「トレーダーの損失が LP の利益になる」設計はこの期間むしろ機能した
    - LP リスクが顕在化するのは、たまに大勝するトレーダーへの集中支払いや、相場急騰局面でのショート過多・価格エクスポージャーといった個別局面である

    理由3: 競合の進化
    - Hyperliquid の orderbook 型が CEX 並みの UX を実現
    - トレーダーが UX 重視で GLP 系から離れた


    4. 同型を採用した他プロトコルの軌跡

    「LP が全トレードの反対側を集合的に背負う」点で GMX と共通する他プロトコル:

    • Gains Network(GNS / gTrade): マルチアセットの GLP とは別系統で、単一担保ボールト型(gDAI、後に gETH/gUSDC 等の ERC-4626 ボールト)を全トレードの単一カウンターパーティとする設計。「単一プールがカウンターパーティ」という思想のみ共通で、GLP 特有のマルチアセット組成・価格エクスポージャー構造とは異なる
    • Vela Exchange: GMX 系のプールトレード型だが、流動性プール VLP は USDC 単一担保でマルチアセット GLP とは異なり、インパーマネントロスを排除する設計

    総じて、こうした「LP がカウンターパーティを背負う」型はピーク後シェアを失う傾向にあり、orderbook 型に押される。


    5. 事業者が GLP 型を採用すべきか

    採用すべきケース

    • 業界特化型・新興資産で orderbook 型を組む流動性が確保できない
    • LP の参入インセンティブを「Real Yield」で訴求できる
    • トレーダー UX より LP 収益化を優先する

    採用しないケース(多数派)

    • 機関向け本格 Perps
    • 主要資産(BTC、ETH)の Perps
    • CEX 並みの UX が必要

    事業者として GLP 型を選ぶ場合、「過去事例の限界を理解した上での意図的な選択」であるべき。


    6. まとめ

    3つの要点:

    1. GLP = LP がトレーダーの反対側を集合的に背負う設計(GMX V1 のモデル)
    2. GMX 自身が2023年8月の V2 でリスク隔離型の GM プールへ移行し、V1 取引は2025年7月に段階的廃止。GLP のレガシー化は、本記事が指摘する構造的弱点を本家の設計刷新が裏付けている
    3. 2026年の事業者は GLP 型を慎重に判断、主流は orderbook 型

    詳しくは Perps funding ratevAMM を参照。


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    • Perps funding rate メカニズム — GLP モデルでもトレーダー間の funding は同じ仕組み。Perps 設計の前提
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    • Hyperliquidとは? — 本記事「トレーダーが UX 重視で GLP 系から離れた」流れの主要受け皿
    • Balancer Weighted Pool — GLP のマルチアセットプール思想に近い設計。LP がポートフォリオを背負う構造

    XTELA の Perps 設計支援知見

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    XTELA は2015年以降、50案件以上のブロックチェーン開発支援を行ってきました。Perps 関連について、以下のような支援が可能です:

    • GLP 型派生の設計レビュー: 過去事例の構造的弱点を踏まえたパラメータ設定
    • 業界特化 Perps の設計: GLP vs vAMM vs orderbook の選択判断
    • LP インセンティブ設計: 持続可能な「Real Yield」訴求の設計

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