Hyperliquidとは?オンチェーンPerps DEXの仕組みと事業者向け論点
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Hyperliquid(ハイパーリキッド)は、独自Layer 1ブロックチェーン上にフルオンチェーンの永久先物取引所を構築し、VCゼロの自己資金ブートストラップでCEXに匹敵する取引体験を実現した、2025-2026年のDeFi最重要プロジェクトだ。
30秒でわかるハイパーリキッド(Hyperliquid)
- 何?:独自L1で注文板を完全オンチェーン化した永久先物DEX。70msファイナリティでCEX並みの速度を実現
- 規模:DEX永久先物のOIシェア約44%(ピーク時70%超)、日次取引量$5B〜$12B
- トークン:$HYPE(VC調達ゼロ/総供給の31%をコミュニティへエアドロップ配布)
- リスク:バリデータが少数で分散性に課題、2025年3月にはJELLY清算攻撃も発生
- 向き・不向き:オンチェーンで透明かつ高速にトレードしたい人向け。日本語UI・国内サポートは未整備で、税務の取り扱いは各自確認が必要
目次
1. ハイパーリキッド(Hyperliquid)とは?
概要
Hyperliquid(ハイパーリキッド)は、独自開発のLayer 1ブロックチェーン上に構築された分散型永久先物取引所(Perpetual Futures DEX)です。すべての注文、キャンセル、約定、清算がフルオンチェーンで処理され、中央集権型取引所(CEX)に匹敵する高速・低コストの取引体験を実現しています。
「CEXのUXを持つDEX — すべてがオンチェーン」
市場ポジション
Hyperliquidは分散型永久先物市場において圧倒的なシェアを獲得しています:
- DEX永久先物のオープンインタレスト(OI)シェア: 約44%(2026年4月時点。ピーク時は70%超)
- 日次取引量: 約$5B〜$12B(相場により変動、ピーク時はさらに高水準)
- 取扱ペア: 約310以上の永久先物ペア
- 累計ユーザー数: 約140万ウォレット(2025年末時点)
なぜHyperliquidが注目されるのか
従来のDEXはAMM型の限界(大口注文のスリッページ)、オフチェーン依存(dYdXやGMXの一部)、vAMM(仮想AMM)型Perp DEXのパフォーマンス制約(Ethereum L1/L2上の処理速度制約)といった課題を抱えていました。Hyperliquidは独自L1を構築することでこれらの課題を解消し、「DEXがCEXに勝てる」ことを証明しました。
2. 技術アーキテクチャ
Hyperliquidの性能を支える3つの技術要素は以下の通り。
独自BFTで70msファイナリティ、200K+ TPS。Binance級の性能。
注文・キャンセル・約定・清算すべてがオンチェーン。構造的に不正が不可能。
EVM互換レイヤー。175+チームがデプロイ、Solidity DApps移植可能。
HyperBFTコンセンサス
Hyperliquidは独自開発のBFTコンセンサスアルゴリズム「HyperBFT」を採用しています。
この性能は、Binanceなどの大手CEXの注文マッチングエンジンに匹敵します。
フルオンチェーンオーダーブック
Hyperliquidの最大の技術的特徴は、オーダーブック(注文板)全体がオンチェーンで管理されている点です。指値注文の発行・キャンセル、マッチング(約定)、ポジション管理、マージン計算、清算、ファンディングレート計算——すべてがオンチェーンで処理されます。これにより、すべての取引が透明かつ検証可能であり、取引所による不正(フロントランニング、注文操作等)が構造的に不可能です。
HyperEVM — EVM互換レイヤー
2025年2月18日にメインネットローンチされたHyperEVMは、Hyperliquid L1上に構築されたEVM互換のスマートコントラクト実行環境です。
- Ethereum互換のスマートコントラクトをデプロイ可能
- Solidityで開発されたDAppsをそのまま移植
- Hyperliquidの永久先物やスポット市場とネイティブに連携
- MetaMask、Hardhat等の既存ツールがそのまま利用可能
- ローンチ以降、175以上の開発チームがデプロイ
3. 主要プロダクト
3.1 永久先物取引(Perpetual Futures)
Hyperliquidのコアプロダクトです:
- 310以上の通貨ペア: BTC、ETH、SOL等の主要暗号資産に加え、ミームコインやアルトコインも幅広くサポート
- 最大レバレッジ: BTCで40倍、ETHで25倍、新規ペアでは最大50倍
- 取引手数料: 基本ティアでメイカー0.015% / テイカー0.045%(VIPティアで割引)
- ガス代不要: 取引にガス代がかからない(手数料は取引手数料のみ)
- クロスマージン / アイソレーテッドマージン: 両方に対応
3.2 スポット取引
永久先物に加え、スポット(現物)取引もサポートしています。HIP-1(Hyperliquid Improvement Proposal 1)により、ネイティブトークンの発行・上場が可能です。
3.3 HIP-3: トークン化株式
2025年10月13日にメインネット稼働開始したHIP-3により、従来の株式(Apple、Tesla、NVIDIA、Amazon等)のトークン化と永久先物取引が可能になりました。
- 全取引量の約35-48%がHIP-3(トークン化株式、米国市場時間外含む)
- オープンインタレストは2026年4月時点で$2Bを突破(3月のThe Block記事時点は$1.43B)
- 米国株式市場の取引時間外でも24/7で取引可能
- Trade.xyz等のフロントエンドが開発中
3.4 HIP-4: 予測市場
テストネットで稼働中の予測市場機能。選挙結果、スポーツイベント等の現実世界のイベントに対するベッティングが可能です。
4. HYPEトークン
トークン概要
$HYPEはHyperliquid L1のネイティブトークンです。
- 総供給量: 10億HYPE
- 初期エアドロップ: 2024年11月29日に実施。総供給量の31%(3億1,000万HYPE)をコミュニティに配布
- 配布方法: 過去にHyperliquidで取引を行ったユーザーに対し、取引量・手数料・活動期間に応じて配布
トークン配分
| 配分先 | 割合 | 説明 |
|---|---|---|
| コミュニティ(エアドロップ) | 31% | 初回エアドロップで配布 |
| 将来のコミュニティ報酬 | 38.888% | 将来のインセンティブプログラム用 |
| コア貢献者 | 23.8% | ベスティングあり |
| 財団 | 6% | Hyper Foundation |
| コミュニティ助成金 | 0.3% | エコシステム助成金 |
| HIP-2 | 0.012% | プロトコル用 |
HYPEの価格推移
- エアドロップ時: 約$3.20で取引開始
- 2024年12月: 約$35に急騰
- ATH(最高値): 約$59.30(2025年9月18日)
- 特徴: VCからの資金調達ゼロ(コミュニティファースト)
ETF申請
資産運用会社Bitwiseは2026年4月にHyperliquid ETFのS-1修正申請(ティッカー: BHYP)をSECに提出し、2026年5月15日にNYSEへ現物ETFとして上場しました。分散型取引所のネイティブトークンが単体で現物ETF化された初のケースで、ステーキング報酬の組み込みも特徴です。
5. チーム背景とセキュリティ
創業チーム
- Jeff Yan(@chameleon_jeff、共同創業者): ハーバード大学卒業(数学・CS)、Hudson River Trading(HFT企業)での経験を経てHyperliquidを設立
- チーム構成: 大手HFTファーム、定量金融、分散システムのエンジニアリング出身者で構成
VCゼロの資金調達
Hyperliquidの最も特筆すべき点の一つは、外部VCからの資金調達をゼロで行っている点です。
- プロトコル手数料の自己資金でブートストラップ
- VCに対するトークン配分なし
- これにより、トークンのアンロック(VC売却)圧力が存在しない
- コミュニティファーストの設計思想を体現
- Jeff Yanは報道上、約$1Bバリュエーションでの$100M投資オファーも謝絶したとされる
過去のインシデント — JELLY事件(2025年3月)
JELLY永久先物市場で、攻撃者が大口ポジションを作り意図的に清算を発動させることで、HLP(流動性提供者プール)が一時的に損失を被る事態が発生。Hyperliquidチームは迅速にバリデータ投票でJELLY上場廃止、OI上限設定・清算メカニズム改善・リスクパラメータ見直しを実施。DeFiプロトコルの清算メカニズム設計の重要性を業界全体に再認識させた事件。
2025年3月26日、大口トレーダーによる市場操作事件が発生。あるトレーダーが$JELLY(ミームコイン)のポジションを利用してHyperliquidの清算メカニズムを攻撃し、HLP(Hyperliquidity Provider)ヴォールトに最大$13.5Mの未実現損失が発生しました。
Hyperliquidチームは迅速に対応し、バリデータ投票でJELLY永久先物を上場廃止。オープンインタレストの上限設定、清算メカニズムの改善、リスクパラメータの見直しを実施しました。この事件は、DeFiプロトコルの清算メカニズム設計の重要性を業界全体に再認識させました。
6. 競合比較
DEX永久先物市場
| プロジェクト | チェーン | オーダーブック | 日次取引量 |
|---|---|---|---|
| Hyperliquid | 独自L1 | フルオンチェーン | $5B-$12B |
| dYdX v4 | Cosmos(独自L1) | オンチェーン | 約$150-200M |
| GMX | Arbitrum | オラクル型(GLPプール) | 約$200M |
| Jupiter Perps | Solana | オラクル型 | 数百M規模 |
Hyperliquidの取引量は他のDEXを1桁以上上回り、フルオンチェーンオーダーブックの透明性とCEX並みの約定速度が強みとなっています。
CEXとの比較
| 項目 | CEX | Hyperliquid |
|---|---|---|
| カストディ | 取引所が管理(ハッキングリスク) | セルフカストディ |
| 透明性 | ブラックボックス | フルオンチェーン |
| 検閲耐性 | 口座凍結の可能性 | パーミッションレス |
| KYC | 必須 | 不要 |
| 取引速度 | 高速 | CEX並み |
7. Hyperliquidエコシステムの展望
展望の3軸
175+チームがデプロイ済み。レンディング、利回り、NFTなどのDeFiプリミティブがHyperliquidオーダーブックとネイティブ連携する形で拡大していく見込み。
Apple、Tesla、NVIDIA、Amazon等、24/7で取引可能なトークン化株式は全取引量の35-48%を占めるまで成長。米国市場時間外需要の取り込みで市場規模拡大が続く。
ETF申請、コンプライアンス整備が進めば、機関マネー流入の経路が確立。Hyperliquid L1がCEXを代替する可能性。
HyperEVMの拡大
HyperEVMの稼働により、Hyperliquidは単なるDEXから総合的なDeFiプラットフォームへと進化しています。レンディング/ボローイング、stHYPE等の流動性ステーキングデリバティブ、NFTマーケットプレイス、自動化された取引戦略ヴォールトなど、単なる取引所の枠を超えたDAppsが集積しつつあります。
トークン化株式(HIP-3)の拡大
HIP-3によるトークン化株式は、24/7で米国株にアクセスできるインフラとして大きな可能性を秘めています。アジアの投資家が米国市場の取引時間外でもリアルタイムでポジションを調整できるなど、グローバルな投資機会の民主化に貢献しています。
機関投資家の参入
2026年5月15日に上場したBitwiseのHYPE現物ETF(BHYP)は、機関投資家がDeFiプロトコルのトークンに証券口座経由で直接投資する道を開きました。今後の運用残高の伸びが、DeFiと伝統金融の融合がどこまで進むかの試金石になります。
筆者の見解としては、Hyperliquidの成功は「VCゼロでもDEX市場を制覇できる」ことを実証した点で歴史的に重要だ。ただし市場シェアがピークの70%超から44%まで低下していることが示すように、Lighter・Aster・EdgeX・Paradexなどの新興Perp DEXが追随しており、2026年は「Perp DEX戦国時代」の様相を呈している。HyperEVMエコシステムの厚みとHIP-3トークン化株式が、差別化要因として機能するかが次の焦点になるだろう。
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8. よくある質問(FAQ)
Q. ハイパーリキッド(Hyperliquid)の取引手数料はいくらですか?
永久先物の基本ティアでメイカー0.015%・テイカー0.045%です(取引量に応じたVIPティアで割引)。取引にガス代はかからず、コストは取引手数料のみです。
Q. ハイパーリキッド(Hyperliquid)は安全ですか?
注文・約定・清算がすべてオンチェーンで検証可能なため、取引所による不正(フロントランニング等)は構造的に困難です。一方で、バリデータが現時点で少数である分散性の課題や、2025年3月のJELLY清算攻撃のように個別市場の設計に起因するリスクは存在します。自己資金の管理(セルフカストディ)はユーザー自身の責任になります。
Q. 日本から使えますか?日本語に対応していますか?
HyperliquidはパーミッションレスなDEXのため特定地域向けの口座開設手続きはありませんが、日本語の公式UIや国内サポート窓口は整備されていません。また、暗号資産取引にともなう日本国内での税務上の取り扱いについては、ご自身で最新の制度を確認するか専門家にご相談ください。
Q. HYPEトークンはどこで入手できますか?
$HYPEは2026年6月時点で国内の暗号資産交換業者では現物未上場です。取得するには、国内取引所でETHやUSDTを購入し、海外取引所やHyperliquid L1・対応ウォレット経由で交換するのが一般的です。また米国では、BitwiseのHYPE現物ETF(BHYP)が2026年5月15日にNYSEへ上場しており、証券口座を通じた投資も可能になっています。
まとめ
Hyperliquidは「分散型取引所がCEXを超えられる」ことを実証した、DeFi史上最も重要なプロジェクトの一つです。フルオンチェーンオーダーブック、独自L1による高性能、VCゼロの資金調達、HyperEVMによるエコシステム拡大、HIP-3トークン化株式という新たな資産クラスへの拡張——これらが同時に機能する今、Hyperliquidは単なるDEXの枠を超え、伝統金融とDeFiの融合の最前線に立っています。高頻度な連続発注を CEX 並みの UX で扱うためには、署名のたびにポップアップを出さない仕組みが必須で、セッションキーによる期間限定の取引専用署名権限が、Perp DEX フロントエンド側の現実解になっています。