Celestia徹底解説 2026|Pure DAの思想とEigenDAとの本質比較
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Celestia は、「実行を持たない」モジュラー DA ブロックチェーン。スマートコントラクトの実行はせず、ロールアップが必要とするデータ可用性(Data Availability)だけを提供する Pure DA レイヤーだ。L2BEAT では、Eclipse・Manta Pacific・Derive など9件の L2 がデータの置き場に使い、その預かり資産(TVS)は約2.6億ドル(2026年9月)。
Celestia の本質は、「実行層と競合しない Pure DA」という思想的選択にある。
Ethereum は DA・実行・決済を束ね、EigenLayer は AVS で実行層まで踏み込む。Celestia は DA に専念することで、採用ロールアップと利害対立しない win-win 構造を設計。本記事は、Modular 構成で L2 を構築する発注者の視点で、Celestia を EigenDA と横比較しながら整理する。
目次
1. 3分サマリー
- Pure DA ブロックチェーン、2023年10月メインネットベータ
- L2BEAT では利用9件・TVS 約2.6億ドル(2026年9月)。Ethereum 以外の DA の中では EigenDA(約6.6億ドル)に次ぐ
- 使っている L2:Derive、Manta Pacific、Orderly、Eclipse、Nillion、LightLink、Ancient8、B3、Towns(L2BEAT、2026年9月)
- TIA 単価 約$0.30〜0.35(2026年4月、CoinGecko)。Matcha アップグレード(2025年11月24日)で発行率を年2.5%に引き下げ
- Vision 2.0 / Fibre(2026年1月発表):1Tbps の blockspace が目標。V7 Hibiscus は不具合のため本番では見送られ、同じ変更を V8 として2026年5月5日に有効化。V9(2026年7月1日)でブロック間隔を約3秒に短縮
- 手数料:TIA 建て。1件ごとの定額と、データの大きさに応じた額の合計。混み合うと高い手数料の取引から先に入る
- スタック評価5軸 19/25:カスタマイズ自由度5、採用実績4、手数料/RaaS で EigenDA に劣後
2. Celestia の位置付け — Pure DA とは
実行分離の先駆
Celestia は「実行を持たない」ことが最大の特徴。スマートコントラクト実行・決済・ガバナンスなどはすべて採用ロールアップ側で行い、Celestia は「このデータが確かにチェーン上に存在し、誰でも取得可能である」ことの保証だけを提供する。これにより、ロールアップは実行層(EVM / SVM / Move / UTXO)・Sequencer・手数料通貨・ガバナンスをすべて自由に設計できる。
Data Availability Sampling(DAS)
ライトノードが少数のデータサンプルを検証するだけで、ブロック全体のデータ可用性を確率的に保証できる技術。フルノードを動かさなくても安全性を検証でき、分散化と容量拡張の両立を可能にする。1Tbps を目指す Vision 2.0 の中核技術。
3. なぜ今 Celestia を論じるか
今の DA 容量(L2BEAT では最大約5.3MiB/s、2026年9月)から大幅な拡張を目指す長期ロードマップ。EigenDA V2 100 MB/s(2025年7月30日 mainnet 投入)を意識した容量の打ち出し。
Kelp DAO 事件で EigenLayer エコシステムのシステミックリスクが顕在化。Celestia の「独立 L1・独自 PoS」という構造は、この種のリスクを比べる材料になる。
L2BEAT では、Ethereum 以外の DA に置かれた預かり資産は計約9.5億ドル。うち EigenDA が約6.6億ドル、Celestia は約2.6億ドル(2026年9月)。Ethereum へ可用性を伝える中継の SP1 Blobstream も、2026年9月時点で保守が終わっている。
4. Data Availability Sampling(DAS)の仕組み
DAS はライトノードが少量のデータサンプルをランダムに検証することで、データ可用性を確率的に保証する技術。
- フルノードが全データを保存する必要がない
- ライトノードでも「データが隠されていない」ことを検証可能
- 容量拡張(1Tbps目標)と分散化の両立
- Ethereum も EIP-7594(PeerDAS)を 2025年12月の Fusaka アップグレードで mainnet 導入済
5. 主要指標(2026年9月時点)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| TIA 単価 | 約 $0.30〜0.35(2026年4月)、約 $0.50(2026年9月)。CoinGecko |
| TIA の発行率 | Matcha アップグレード(2025年11月24日)で年2.5%に引き下げ(CIP-41) |
| 最大スループット | 約5.3MiB/s(L2BEAT)。ブロックの上限は2025年12月のガバナンス投票で8MBから32MBへ |
| ネットワークの更新 | V7 Hibiscus は不具合で本番では見送り、同じ変更を V8 として2026年5月5日に有効化。V9(2026年7月1日)でブロック間隔を約3秒に |
6. 採用ロールアップと TVS
L2BEAT が Celestia の利用先として挙げるのは、Derive・Manta Pacific・Orderly・Eclipse・Nillion・LightLink・Ancient8・B3・Towns の9件(2026年9月)。下の表は、そのうち主なものと、よく名前の挙がるチェーンだ。
| チェーン | 実行層 | 特徴 |
|---|---|---|
| Eclipse | SVM | SVM で動く、Celestia の主な利用先。2025年ピーク比 TVL -95%、人員65%削減、studio 型へピボット中と報じられた(DefiLlama の TVL は2026年9月に約4万ドル) |
| Manta Pacific | EVM | 200+ dApp、Atlantic は Polkadot parachain slot 失効に伴い 2026年8月1日サンセット予定。EVM ロールアップの Pacific に集約 |
| Movement | Move VM | L2BEAT の Celestia 利用一覧には無い。DefiLlama の TVL は約300万ドル(2026年9月) |
| Dymension | RollApps | Cosmos 系の RollApp 群(Ethereum 向けではないため L2BEAT の一覧の対象外) |
| Derive / Orderly / B3 ほか | EVM 系 | L2BEAT の利用一覧にある用途特化のチェーン |
7. スタック評価 5軸スコア
XTELA が5つの軸で採点した評価。スコアと根拠は2026年4月時点のもので、主要指標の最新値は第5章を参照。
| 軸 | スコア | 根拠 |
|---|---|---|
| 採用実績 | 4/5 | 20+ ロールアップ、DA市場50%、TVS $822M |
| カスタマイズ自由度 | 5/5 | Pure DA ゆえ実行層・Sequencer・ガバナンス・手数料通貨すべて自由 |
| 手数料/収益モデル | 3/5 | TIA 建て支払いで為替リスク。100MB/日 投稿の試算で年間 約$12,775(Celestia)vs 約$730(EigenDA)、約17倍高い ※トラフィック前提により倍率は変動 |
| 長期コミットメント | 4/5 | Vision 2.0 明示、Pure DA 戦略一貫。TIA 価格低迷は警戒 |
| RaaS / 運用ノウハウ | 3/5 | RaaS 対応あるが EigenDA がデフォルト。追加の運用コミュニケーションコスト |
総合:19 / 25。カスタマイズ自由度と採用実績が高く、思想的に Pure DA を選びたい発注者向け。コスト最小化なら EigenDA に軍配。
8. EigenDA との比較 — 8項目マトリクス
| 観点 | Celestia | EigenDA |
|---|---|---|
| 思想 | Pure DA(実行層と競合しない) | Restaked DA(AVS として拡張) |
| 手数料の決まり方 | TIA 建て。1件ごとの定額+データの大きさに応じた額 | 公式の料金体系を個別に確認 |
| スループット | 最大約5.3MiB/s(L2BEAT、2026年9月)。Fibre で1Tbps目標 | EigenDA V2 100 MB/s(2025年7月30日 mainnet 投入) |
| セキュリティモデル | 独立 L1(Cosmos SDK / 独自 PoS)。Ethereum へ可用性を伝える SP1 Blobstream は2026年9月時点で保守終了 | EigenLayer Restaked ETH |
| システミックリスク | TIA 価格連動(独立) | Kelp DAO 事件型の波及リスク |
| 支払通貨 | TIA 建て(為替リスク) | ETH / stable 建て可 |
| 採用実績 | Eclipse / Manta Pacific / Derive など9件(L2BEAT) | Mantle / MegaETH / Celo 等 |
| RaaS 統合 | Caldera はベータ機能として対応(個別相談)、AltLayer も手順を公開 | 対応は構築代行会社ごとに確認 |
使い分けの目安:
- Celestia:実行層を EVM 以外にしたい(SVM / Move / UTXO)/思想的に Pure DA を取りたい/Restaked 経済のシステミックリスクを避けたい
- EigenDA:費用を最優先で比べたい/OP Stack + EigenDA の構成に乗りたい/L2BEAT で預かり資産の大きい先行例に揃えたい
9. 日本での採用可能性
Celestia 採用 L2 に日本企業が事業を載せる場合の論点
- TIA 価格リスク:DA コストの JPY 換算が TIA 価格連動で変動。事業計画の為替感応度が大きい
- 暗号資産交換業判定:TIA の購入・保持が業法上の取扱対象になりうる可能性
- SLA 責任:Celestia 本体の稼働保証は Celestia Labs には求められない
- 監査ログ:DA 層のデータ取得 SLA をどう記述するかが法務論点
日本企業が選ぶ場合の典型シナリオ
- Move VM / SVM で L2 を作りたい:EVM 外の実行層でも使える。L2BEAT では SVM の Eclipse が使っている
- Restaked 経済リスクを避けたい:EigenLayer 系の複雑性を嫌う金融系案件
- 思想的に Pure DA を支持:DA 層が実行層と利害対立しない構造を重視
「Celestia を DA に選ばなくてよい」定量目安
Celestia の優位性(Pure DA / SVM 等多 VM)が活きない条件。
- 月間 DA 投稿バイト数 < 1GB — Ethereum blob で十分な場合が多い
- EVM 限定 / Ethereum エコシステム DA 標準(blob)に揃えたい — Pure DA の独自性が活きない
- TIA 価格変動を事業計画に組み込めない — TIA 建てでない EigenDA / Ethereum blob と比べる
- Restaked DA を許容できる金融案件 — EigenDA + Ethereum セキュリティの方が説明しやすい
- Cosmos エコシステム関与なし — Celestia の Cosmos 系 IBC / 主権チェーン哲学を活用しないなら個別優位性が薄い
10. 他のL2選択肢との使い分け
※ ユースケース別の判断軸:自社経済圏を持つべきか/既存L2上に載せるか自社L2を持つか/Ethereum 担保とコスト最適化のどちらを優先するか — 詳細は「L2完全マップ 2026」を参照
自社経済圏を持ち、コストまたはスループットを優先する自社L2を、Modular 構成(DA分離)で構築する場合の候補。「実行層の自由度と思想の一致」を重視する発注者向け。費用を最優先するなら EigenDA とも比べたい。
主要数値の参照ソース(2026年9月確認)
Celestia DAS / TVS / 採用ロールアップ関連は下記から引用。
- L2BEAT — Celestia: https://l2beat.com/data-availability/projects/celestia/no-bridge
- Celestia 公式ドキュメント(手数料・ネットワーク更新・Blobstream): https://docs.celestia.org/
- Celestia 公式: https://celestia.org/
- Celenium(Celestia エクスプローラー): https://celenium.io/
- Modular Cloud — DA dashboards: https://www.modular.cloud/
- L2BEAT — DA layers: https://l2beat.com/data-availability/summary
- Celestia Roadmap (Lemongrass / 1GB blocks): https://blog.celestia.org/
- 採用ロールアップ公式(Manta Pacific / Eclipse / Derive 等)
- CoinGecko TIA: https://www.coingecko.com/en/coins/celestia
11. まとめ
Celestia は「Pure DA」という明確な思想選択を貫く DA 層だ。2026年9月の L2BEAT では9件の L2 が使い、預かり資産は約2.6億ドルで、Ethereum 以外の DA では EigenDA(約6.6億ドル)に次ぐ。実行層と競合しない構造と、Fibre の1Tbps 計画が特徴。一方で、Ethereum へ可用性を伝える SP1 Blobstream は保守が終わっており、その経路が必要なら自前で用意することになる。日本企業の採用は「思想の一致と実行層の自由度」を取る場面が中心になる。
この記事の主要ポイント
- Celestia は Pure DA。L2BEAT では9件の L2 が使い、TVS 約2.6億ドル(2026年9月)
- Data Availability Sampling で分散化と容量拡張を両立
- スタック評価5軸 19/25。カスタマイズ自由度5・採用実績4が強み
- 手数料は TIA 建てで、値動きを予算に織り込む必要がある。実行層は問わない
- 日本企業採用は EVM外実行層・Restaked回避 の場面に限定
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法務・規制レビューは専門パートナー併用が前提
Celestia 採用に伴う TIA トークン保有・DA 投稿料金の税務処理(暗号資産支払いの簿価管理)・Cosmos エコシステムでの主権チェーン構築に絡む規制適用関係は、本記事は技術・事業構造の整理であり、個別案件の法的助言ではない。実際の採用判断・契約締結・トークン設計・KYC/AML 設計・データ越境移転スキームの確定にあたっては、Web3 / 暗号資産に対応する法律事務所・税理士法人・監査法人との併用を強く推奨する。XTELA は技術アーキテクチャ・スタック選定・実装支援を担当するパートナーであり、法務・税務・規制対応そのものは取り扱わない。
12. 著者:XTELAについて
本記事の本文は、Celestia を中立的に整理することを目的として書かれている。
XTELA とは
XTELA はWeb3 と AI の設計・開発スタジオであり、主要な L2 スタック(OP Stack / Arbitrum Orbit / ZK Stack 等)を用いた L2 構築サービスを提供している。Modular 構成(OP Stack + Celestia / EigenDA)の選定支援、Celestia 採用 L2 上の dApp 実装、DA 層の運用設計まで対応している。
Modular 構成・DA 層選定のご相談
Celestia / EigenDA / Ethereum blob の選定、TIA 建てコストの事業計画への織り込みまで整理します。