ステーブルコインとは?種類と日本の法律での扱い・円建ての動き【2026年】

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ステーブルコインとは?種類と日本の法律での扱い・円建ての動き【2026年】
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    海外の取引先から「請求書の支払いはUSDCでいいですか」と聞かれたとします。受け取ったUSDCは、日本の法律では何を受け取ったことになるのでしょうか。値動きのあるビットコインと同じ「暗号資産」だと思われがちですが、日本ではそうなりません。

    円やドルで表示され、額面で払い戻されるステーブルコインは、資金決済法の「電子決済手段」という別の枠に入ります。国内でUSDCの売買を扱うSBI VCトレードも、暗号資産とは別の登録を2025年3月に受けました。

    どちらの枠に入るかで、発行できる会社、仲介に要る登録、1回に送れる金額まで変わります。決済や送金、手元資金の置き場としてステーブルコインを使うなら、ここが最初の分かれ道です。

    ステーブルコインとは何か

    ステーブルコイン(Stablecoin)は、米ドルや日本円などの価値に連動するよう設計されたトークンです。ブロックチェーン上で送れる点はビットコインと同じです。ただ価格が大きく動かないので、支払いや送金に使えます。

    連動を支えるのは、発行者が持つ準備資産か、利用者が預ける担保です。この支え方の違いが、後で見る種類と、日本の法律での扱いを分けます。

    何に使われているか

    01
    DeFiの基軸通貨

    レンディングやDEX取引、イールドファーミングでの決済手段。

    02
    国際送金

    中継銀行を通す従来の国際送金に代わる、速い送金手段。

    03
    暗号資産取引の基軸ペア

    取引所(CEX・DEX)での主要な取引ペア。

    04
    価値の保存

    値動きの大きい市場で、資金を一時的に置いておく先。

    05
    決済手段

    実店舗やオンラインでの支払い。

    日本の法律では何にあたるのか

    額面で払い戻されるものは「電子決済手段」になる

    資金決済法は第2条で、第5項に「電子決済手段」、第14項に「暗号資産」の定義を置いています。暗号資産の定義は、「通貨建資産」と電子決済手段をわざわざ除いています。

    通貨建資産とは、円や外国通貨で表示されるか、円や外国通貨で払い戻されることになっている資産です。発行者が額面での払い戻しを約束するステーブルコインは、ここに入ります。

    そのため、ドルに連動しドルで払い戻されるUSDCは、日本では電子決済手段として扱われます。冒頭の問いの答えはこれです。円建てのJPYCも、発行会社が「電子決済手段であり、暗号資産とは全く異なる」と説明しています。

    電子決済手段の4つの区分と、発行できる者

    条文は電子決済手段を1号から4号に分けています。区分ごとに、発行する側の顔ぶれが変わります。

    区分 条文の中身(要約) 主な発行者・例
    1号不特定の相手への支払いに使え、売買もできる通貨建資産で、電子的に移せるもの(3号に当たるものを除く)銀行、資金移動業者(JPYCは資金移動業者が発行)
    2号不特定の相手との間で、1号と交換できる通貨建ての財産的価値1号と交換して使われるもの
    3号特定信託受益権。信託した金銭を一定割合以上は預貯金で、残りを国債などで管理する金銭信託の受益権信託銀行・信託会社(例:SBI新生信託銀行のJPYSC)
    4号1〜3号に準ずるものとして内閣府令で定めるもの外国で発行される信託受益権のうち、府令の要件を満たすものなど

    まとめると、国内で発行できるのは銀行、資金移動業者、信託会社(信託銀行を含む)です。金融庁の改正時の資料も、発行者として銀行・信託会社等を挙げています。

    区分の違いは、送れる金額に出ます。SBIグループの発表によれば、資金移動業者が発行するものは送金と保有に100万円の制限を受けます。信託型の3号には、この制限がありません。

    売買や保管を仲介するには別の登録が要る

    発行者と利用者の間に入り、電子決済手段を売買・交換したり、その媒介をしたりするには登録が要ります。利用者のために保管する場合も同じです。これが「電子決済手段等取引業」で、登録は第62条の3に定めがあります。

    暗号資産を扱う暗号資産交換業とは別の登録です。最初に登録したのはSBI VCトレード(2025年3月4日)です。同社は2026年6月24日時点で、国内で唯一の登録業者だとしています。

    2026年7月の金商法改正で、線引きがより大事になる

    2026年7月15日に成立し、23日に公布された改正金融商品取引法で、暗号資産は資金決済法から金商法の対象へ移ります。施行は公布から1年以内です。電子決済手段と暗号資産のどちらに当たるかで、かかる法律の体系そのものが変わります。扱うトークンがどちらに入るかは、事業を組み立てる前に確かめておく必要があります。

    担保の仕組みで分けると4種類

    法律の区分とは別に、市場では「何で価値を支えるか」で4種類に分けて呼ぶことが多いです。日本の法律での扱いも、この種類でおおよその見当がつきます。

    2.1
    法定通貨担保型

    最も普及。USDT / USDC / PYUSD / FDUSD。準備金を1:1で保有。

    2.2
    暗号資産担保型

    分散型。DAI / LUSD / USDe / crvUSD。過剰担保(150%+)が特徴。

    2.3
    アルゴリズム型

    担保なし、または部分担保。TerraUSD崩壊後、純粋な型は信頼を失った。

    2.4
    利回り付き

    保有するだけで利回りが付く。USDY / sUSDe / BUIDL。国債利回りなどが源。

    2.1 法定通貨担保型(Fiat-Collateralized)

    発行したコインと同額以上の法定通貨や国債などを、発行者が準備資産として持つ仕組みです。最も広く使われています。

    メリット: 仕組みが分かりやすく、価格が最も安定しやすい。規制当局も受け入れやすい。

    デメリット: 発行者を信頼する必要がある。準備資産の中身と監査の確認が欠かせない。

    発行者が額面での払い戻しを約束するので、日本で電子決済手段に当たるのは主にこの型です。時価総額では、USDTとUSDCの2つが大きく抜けています。

    プロジェクト ティッカー 発行者 時価総額(2026年9月) ペッグ通貨
    TetherUSDTTether Limited約$184B米ドル
    USD CoinUSDCCircle約$76B米ドル
    PayPal USDPYUSDPayPal/Paxos約$2.7B米ドル
    FDUSDFDUSDFirst Digital約$0.3B米ドル

    2.2 暗号資産担保型(Crypto-Collateralized)

    利用者が暗号資産を担保として預け、それに見合う額のステーブルコインを発行する仕組みです。担保の値下がりに備えるため、通常は150%以上の過剰担保が求められます。

    メリット: 担保の中身をオンチェーンで誰でも確かめられる。仲介者が要らない。

    デメリット: 過剰担保のぶん資金効率が低い。暗号資産の急落時には清算が起きる。仕組みが複雑。

    この型には、円やドルでの払い戻しを約束する発行者がいません。条文の定義に照らすと通貨建資産に当たらず、暗号資産の側に入る可能性が高い型です。

    プロジェクト ティッカー 担保 特徴
    MakerDAO (現Sky)DAIETH, USDC, WBTC等最も歴史ある分散型ステーブルコイン(CDP型)
    LiquityLUSDETHガバナンスフリー・完全分散型
    EthenaUSDeETH + ショートポジションデルタニュートラル戦略(ファンディングレートで利回り)
    Curve FinancecrvUSD各種暗号資産LLAMMA清算メカニズム

    2.3 アルゴリズム型(Algorithmic)

    担保を持たないか、一部だけ持ち、プログラムで発行量を増減させて価格を保つ仕組みです。

    メリット: 完全に分散した運営ができ、資金効率が高い。

    デメリット: 価格を保つ力が弱い。価格が外れると売りが売りを呼び、さらに外れる悪循環に陥りやすい。

    2022年にはTerraUSD(UST)が崩壊し、純粋なアルゴリズム型は市場の信頼を大きく失いました。払い戻しを約束する発行者がいない点は2.2と同じで、日本の法律での扱いも同じように考えることになります。

    2.4 利回り付きステーブルコイン(Yield-Bearing)

    持っているだけで利回りが付くタイプです。米国短期国債の利息や、先物市場のファンディングレートが主な源です。ETHのLST(リキッドステーキングトークン)を裏付けにしたステーブルコインも、この仲間です。

    日本では注意が要ります。電子決済手段の定義からは、有価証券が除かれています。利回りを配る仕組みのものは、投資信託の受益権などの有価証券に当たる可能性があります。米国のGENIUS Actも、発行者が保有しているだけの人に利息や利回りを払うことを禁じています。

    プロジェクト ティッカー 利回り源 APY目安(2026年9月・30日平均)
    Ondo FinanceUSDY米国短期国債約3.6%
    EthenasUSDeETHステーキング + ファンディングレート約4.7%(市況次第で変動)
    BlackRockBUIDL米国短期国債約3.3〜3.6%(チェーンにより異なる)

    かつてこの分野の代表例だったMountain ProtocolのUSDMは、事業を段階的に畳んでいます。2025年8月22日に、発行元での払い戻しの窓口を閉じました。

    日本の円建てステーブルコインはどこまで進んだか

    公式発表で確かめられる範囲では、電子決済手段として発行済みの円建ては2つです。資金移動業者が出すJPYCと、信託銀行が出すJPYSCです。3メガバンクは、信託型での共同発行を準備しています。

    資金移動業型・発行済み
    JPYC

    JPYC社が2025年8月18日に資金移動業者の登録を受け、10月27日に発行を始めました。円と1対1で発行・償還でき、裏付けは預貯金と国債です。対応チェーンはEthereum・Avalanche・Polygon。以前の前払式支払手段のトークンは「JPYC Prepaid」に名前を変え、別のものとして扱われます。

    信託型(3号)・発行済み
    JPYSC

    SBI新生信託銀行が発行し、SBI VCトレードが流通を担います。Startale Groupとの共同開発です。2026年6月24日に発行し、まずSBI VCトレードの口座内に限って提供しました。外部ウォレットへの出金はできません。法令や税務の整理がつき次第、パブリックチェーンでの流通へ移るとしています。9月には裏付け資産のうち10億円を短期国債で運用し始めました。

    信託型・準備中
    3メガバンクの共同発行

    三菱UFJ・みずほ・三井住友の3行が委託者となり、信託銀行等を受託者として発行する信託型です。2025年11月に金融庁の「決済高度化プロジェクト(PIP)」の支援決定を受けました。2026年6月には、2026年度中の実取引開始を目指すと発表しています。

    Progmat × Datachain
    Progmat Coin / Project Pax

    Progmat Coinは、Progmat社が提供するステーブルコインの発行管理基盤です。発行者そのものではなく、発行の仕組みを提供する立場です。Project Paxは、ProgmatとDatachainが2024年9月に始めた国際送金の基盤づくりです。Swiftの既存の仕組みを使い、銀行経由でステーブルコインを送ります。発表時は2025年の商用化を目指すとしていました。

    Project Paxと3メガバンクの共同発行は、別々の取り組みです。前者は送金の基盤、後者は発行そのものの話です。

    事業ではどう使われ始めているか

    店舗での支払い(ネットスターズ)

    ネットスターズは、店舗とQRコード決済をつなぐ事業を手がけています。2026年1〜2月には、羽田空港の一部店舗でUSDC決済の実証を行いました。4月にはWeb2とWeb3をつなぐ構想「StarPay-X」を発表しています。6月にはBitget Walletと協業の基本合意を結びました。

    7月13日からは、加盟店向けの「Stablecoin Pay」を始めています。中身は次のとおりです。

    • 対応コイン: USDC・USDT・JPYC(チェーンはSolanaとPolygon)
    • 手数料: 決済額の0.98%
    • 加盟店側: 表示・売上管理・精算を日本円で行える

    国際送金

    速さと営業時間の制約のなさが、ステーブルコイン送金のいちばんの違いです。一方で、日本では発行形態によって金額の上限がかかります。詳しい組み立て方はステーブルコインによる国際送金の設計にまとめています。

    項目 従来の国際送金 ステーブルコイン送金
    所要時間中継銀行を経由し、数日かかることがあるブロックチェーン上の移転は数秒〜数分
    利用可能時間銀行営業時間内24時間365日
    日本での金額の上限送金の手段ごとの規制による資金移動業者の発行分は100万円の制限、信託型(3号)は制限なし

    DeFiでの基軸通貨

    ステーブルコインは、DeFi(分散型金融)の土台です。AaveやCompoundでの貸し借りにも、UniswapやCurveなどDEXの流動性にも使われます。ステーブルコイン建ての先物やオプションもあります。

    トークン化証券の決済

    デジタル証券(セキュリティトークン)の売買代金を、ステーブルコインで払う実証も始まっています。2025年8月には、三井住友銀行、大和証券、SBI証券など8社が「Project Trinity」を始めました。証券と代金を同時に受け渡すDvP決済をステーブルコインで行う試みです。仕組みはトークン化証券のDvP決済で詳しく扱っています。

    世界の市場と制度はどうなっているか

    市場規模

    DefiLlamaの集計では、ステーブルコインの流通総額は約3,140億ドルです。2026年5月の過去最高(約3,220億ドル)から少し減りました。USDTとUSDCの2つで、全体の8割強を占めます。

    $314B
    流通総額
    2026年9月
    $184B
    USDT シェア1位
    Tether Limited
    $76B
    USDC シェア2位
    Circle

    米国:GENIUS Actの成立

    米国では、決済用ステーブルコインを連邦法で規制する「GENIUS Act」が成立しました。2025年7月17日に下院を308対122で通過し、18日に大統領が署名しています。発行者には、発行残高と少なくとも1対1の準備資産を持つことが求められます。準備資産の月次報告は、登録された会計事務所の検査を受けます。

    EU:MiCAの適用

    EUでは、暗号資産市場規則(MiCA)が適用されています。ステーブルコインの発行者向けの規定は、2024年6月30日から適用されました。暗号資産サービス業者向けを含む全体の適用は、2024年12月30日からです。

    日米の制度の違いは、GENIUS Actと日本のステーブルコイン規制の違いで比べています。

    使う前に確かめておきたいリスク

    ⚠ リスク① 発行者に止められることがある

    法定通貨担保型は、発行者を信頼する前提で成り立ちます。たとえばUSDCの利用規約では、発行者のCircleが特定アドレスとの送受信を止められると定めています。

    ⚠ リスク② 準備資産の預け先が価格に響く

    2023年3月、USDCの準備資産のうち33億ドルが破綻したシリコンバレー銀行に預けられていました。このときUSDCは一時1ドルを1割近く下回りました。発行者が公表する準備資産の中身と監査を確かめておく必要があります。

    ⚠ リスク③ 国ごとに制度が違う

    同じコインでも、日本で電子決済手段として扱えるかと、海外の制度に合うかは別々に確かめることになります。日本では金商法改正の施行も控えています。

    価格が外れたときの資金の守り方は、デペッグ時の財務対応で具体的に扱っています。

    よくある質問(FAQ)

    Q. ステーブルコインは暗号資産ですか?
    A. 日本では、円やドルで額面どおり払い戻されるものは「電子決済手段」で、暗号資産ではありません。資金決済法の暗号資産の定義から、電子決済手段と通貨建資産は除かれています。一方、DAIのように払い戻しを約束する発行者がいないものは、暗号資産の側に入る可能性があります。

    Q. ステーブルコインは安全ですか?
    A. 法定通貨担保型は、発行者が準備資産をきちんと管理している限り、価格は安定しやすいです。ただし、発行者や準備資産の預け先に問題が起きるリスクと、スマートコントラクトの脆弱性のリスクは残ります。

    Q. 日本でステーブルコインを購入できますか?
    A. はい。電子決済手段等取引業者のSBI VCトレードで、USDCを円で買えます。JPYCは、発行会社の「JPYC EX」で本人確認のうえ、銀行振込で発行を受けられます。JPYSCは、2026年6月の提供開始時点ではSBI VCトレードの口座内に限られています。

    Q. ステーブルコインとCBDCの違いは?
    A. ステーブルコインは民間の銀行や事業者が発行します。CBDC(中央銀行デジタル通貨)は、中央銀行が発行する法定通貨のデジタル版です。法的な位置づけ、発行する主体、価値を保証する仕組みが違います。

    まとめ

    日本では、額面で払い戻されるステーブルコインは暗号資産ではなく「電子決済手段」です。発行できるのは銀行、資金移動業者、信託会社で、売買や保管の仲介には電子決済手段等取引業の登録が要ります。円建てでは、JPYCとJPYSCが発行済みで、3メガバンクの信託型が2026年度中の実取引を目指しています。暗号資産が金商法へ移る改正の施行も控えています。使うコインがどの枠に入るかを、最初に確かめておきましょう。

    ステーブルコインを学ぶ順番は、ステーブルコイン学習ロードマップにまとめています。

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    数値は2026年9月25日に確認しました(時価総額・流通総額・利回りはDefiLlama)。法令の説明は一般的な整理で、個別の事業への当てはめは弁護士に確認してください。

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