オンチェーン金融とは?伝統金融のオンチェーン化を解説
2026/09/02
2026/09/02
目次
「オンチェーン金融」という言葉を、ニュースや検索結果で目にする機会が増えています。
国の政策文書にも取り上げられるなど注目度は急速に高まっており、自社としての対応を検討し始めた金融機関・事業会社のご担当者様も少なくないのではないでしょうか。
オンチェーン金融には、DeFi(分散型金融)と、銀行や証券会社など既存の金融機関が主導する「伝統金融のオンチェーン化」という、性質の異なる2つの潮流が存在します。
本記事では後者に焦点を当て、ステーブルコインやトークン化預金、セキュリティトークンの実例を通じて、メガバンクと地方銀行・事業会社とで何が現実的に異なるのかを整理します。
自社がどのポジションから着手できるか、判断材料としてご活用ください。
はじめに:オンチェーン金融とは何か
オンチェーン金融とは、金融取引や資産管理をブロックチェーン上で行う仕組みの総称です。
ステーブルコインからCBDCまで4本柱で構成される一方、DeFiとは異なる文脈で語る必要があります。本章では、その全体像と本記事が扱う範囲を整理します。
オンチェーン金融は4本柱で構成される
オンチェーン金融の中身は幅広く、主に4つの要素で構成されています。
| 要素 | 概要 |
| ①ステーブルコイン | 価格が安定するよう設計された、決済・送金用のデジタル通貨 |
| ②トークン化預金 | 銀行に預けられた預金を、ブロックチェーン上のトークンとして表現する仕組み |
| ③RWAトークン化(うち有価証券に該当するものがST) | 社債・不動産など、実在する資産をブロックチェーン上で権利化する仕組み |
| ④CBDC | 中央銀行が発行するデジタル通貨。日本銀行でも検討が進められている |
これらはいずれも「何らかの資産や権利を、ブロックチェーン上で扱えるようにする」という点で共通しています。
DeFiを含むステーブルコイン全般の仕組みや種類については「ステーブルコインとは?仕組み・種類・日本市場の最新動向を徹底解説」で解説しています。
オンチェーンとオフチェーンの違い(前提用語の整理)
4本柱を理解するうえで前提となるのが、「オンチェーン」と「オフチェーン」という2つの用語です。
- オンチェーン:取引や資産の記録が、ブロックチェーン上に直接記録されている状態
- オフチェーン:取引や資産の記録が、ブロックチェーンの外部(銀行の内部システムなど、従来型のデータベース)で管理されている状態
これまで銀行預金や証券の取引記録は、すべてオフチェーンで管理されてきました。記録を管理・保証しているのは、あくまで銀行や証券会社といった個別の企業です。
オンチェーン金融とは、こうした記録の一部または全部を、オフチェーンからオンチェーンへ移していく動きと定義できます。記録の管理主体を、企業内部のシステムから、ブロックチェーンという共有された台帳へと移す、と捉えると理解が進みます。

DeFiと何が違うのか:発行主体・管理主体の違い
DeFiと伝統金融のオンチェーン化は、発行主体・管理主体の有無に加え、法的請求権やガバナンス、参加制限、準備資産の管理方法など、複数の観点で違いがあります。
既存の免許事業者が担うからこそ、信用の裏付けを保ったまま基盤だけを刷新できます。本章では、その違いと背景にある法整備を解説します。
発行・管理主体とガバナンス構造が異なる
DeFiは、特定の管理者を介さず誰でも参加できる公開プロトコル上で運営されており、UniswapやAave等が代表例です。
ただし完全に無管理というわけではなく、開発者やDAO、ガバナンストークンの保有者、管理鍵の保有者などが存在し、実質的な支配の一部が特定の主体に集中しているケースもある点には留意が必要です。
一方、伝統金融のオンチェーン化は、銀行や証券会社など既存の免許事業者自身が発行主体・管理主体として関わります。ステーブルコインやトークン化預金、STはいずれもこの類型です。
両者の違いは、発行主体の有無だけにとどまりません。伝統金融のオンチェーン化では、預金者としての法的請求権が明確で、参加には本人確認(KYC)が必須となり、裏付けとなる準備資産や決済方法も規制に基づいて厳格に管理されます。
DeFiはこうした点でプロトコルごとに設計が異なり、同様の枠組みを必ずしも備えているわけではありません。「誰が主体となっているか」に加え、法的請求権・ガバナンス・参加制限・準備資産・決済方法といった複数の観点で、両者は異なる仕組みだと理解しておく必要があります。
規制対応力を保ったまま基盤だけを刷新できる
発行主体が既存の金融機関であることには、実務上大きな意味があります。銀行や証券会社が発行主体となる以上、金融規制への対応力・預金保険制度の対象となる可能性・社会的信用は維持されたままです。
変わるのは決済や資産管理を支える基盤の部分だけで、「金融機関としての信用はそのままに、裏側の実装技術だけをブロックチェーンに置き換える」取り組みだといえます。
関連記事:金融機関がブロックチェーンを業務基盤として採用する動きの全体像は「エンタープライズブロックチェーン」で整理しています。
法整備が伝統金融側の参入を後押しした
こうした動きの背景には法整備の進展があり、日本では資金決済法の改正等により、金融機関自身がステーブルコインやトークン化預金の発行主体になれる環境が整いつつあります。
なお、中央銀行が発行するCBDCも日本銀行で検討が進められていますが、国が主導するCBDCと、民間の金融機関が主導するステーブルコイン・トークン化預金とでは、主導する主体が異なります。
暗号資産とも違う:裏付け資産と発行主体の有無で切り分ける
ここまで発行主体の違いを見てきましたが、もう一つの軸が「裏付け資産の有無」です。2軸を組み合わせると次のように整理できます。
| 発行主体 | 裏付け資産 | |
| ビットコイン等の暗号資産 | 存在しない | 存在しない |
| DeFiのプロトコル | 存在しない(ただし開発者・DAO・ガバナンストークン保有者等に実質的な支配が集中する場合がある) | プロトコルごとに異なる |
| 伝統金融のオンチェーン化(ステーブルコイン・トークン化預金等) | 既存の免許事業者 | 銀行預金・法定通貨等、裏付けが明確 |
暗号資産とDeFiは「発行主体を持たない」点で共通しますが、裏付け資産の有無で異なります。伝統金融のオンチェーン化は両方とも明確な点で、両者と一線を画します。
なお、この表は発行主体・裏付け資産という2軸に絞った簡易整理であり、法的請求権やガバナンス、参加制限、準備資産の管理方法といった観点は含んでいません。それらを踏まえた違いは前章で解説したとおりです。
ステーブルコインとトークン化預金の違い
「ステーブルコイン」とひとくくりにされがちですが、決済用ステーブルコインとトークン化預金は目的も仕組みも異なります。本章では、両者の違いと、暗号資産との根本的な性質の差を整理します。
決済用とトークン化預金は別物である
伝統金融のオンチェーン化における「通貨・預金」の領域には、決済用ステーブルコインとトークン化預金という、性質の異なる仕組みがあります。
| 決済用ステーブルコイン | トークン化預金 | |
| 目的 | 決済・送金手段としての利用 | 銀行預金の記録方式の転換 |
| 代表例 | JPYC等 | 銀行系のトークン化預金 |
| 利用範囲 | 対外的な決済に利用可能 | 銀行ネットワーク内で完結 |
| 裏付け資産 | 法定通貨等 | 銀行に預けられた預金そのもの |
決済用ステーブルコインはコンビニ等の電子マネーに近く、決済・送金を目的に設計されています。
一方、トークン化預金は決済専用のデジタル通貨ではなく、銀行が預かる預金そのものをトークンとして表現する仕組みです。両者を同じ「ステーブルコイン」として捉えると、実態を見誤ります。
トークン化預金は銀行ネットワーク内で完結する仕組み
トークン化預金の最大の特徴は、外部からアクセスできない、銀行専用の閉じたネットワークの中で完結する点にあります。
専門家は「銀行系が中心となって開発を進めているステーブルコインは、決済用途のものとは性格を異にし、銀行で預かった資金をトークンとして扱い、銀行のネットワーク内で、外部からアクセスできない形で管理する仕組み」と解説します。
私たちが普段イメージする暗号資産は、誰でもアクセスできる公開されたネットワーク上で流通するものですが、トークン化預金はこれと対照的に、銀行という管理主体の内側だけで完結する仕組みを取ります。
実態としては、銀行の内部システムに記録されていた預金データが、ブロックチェーンという技術基盤に置き換わったに過ぎず、預金が銀行の外に出るわけではありません。
関連記事:トークン化預金の技術的な構成や開発の進め方については「トークン化預金」で詳しく解説しています。
「ステーブルコイン=暗号資産」という先入観は誤り
「ステーブルコイン」という言葉から、ビットコイン等と同じ暗号資産の一種だとイメージする方も少なくないでしょう。しかし、伝統金融が発行するステーブルコインの性質はまったく異なります。
前章で整理したとおり、暗号資産には発行主体が存在しませんが、伝統金融発のステーブルコインには銀行や証券会社という明確な発行主体・管理主体が存在し、預金や法定通貨といった裏付け資産も明確です。
つまりこれは「新しい金融商品」ではなく、既存の預金・決済インフラをブロックチェーンという技術で実装し直したものと理解するのが適切です。
国内の実例:地方銀行からメガバンクまで
オンチェーン金融はメガバンクの話と思われがちですが、実際は地方銀行の方が着手しやすい領域です。
本章では、地方銀行・メガバンク・事業会社それぞれの実例を通じて、規模による現実的な打ち手の違いを見ていきます。
地方銀行の方が着手しやすいという現場の声
オンチェーン金融をめぐる報道はメガバンク主導の大型プロジェクトに偏りがちで、「大手金融機関でなければ着手できない領域」という印象を持たれやすいものです。
しかし専門家によれば、地方銀行は大企業ほどの規模を持たないぶん、かえってベンチャー企業と連携しやすく、着手事例も各地で公表されています。
代表例が北國銀行で、地銀として先行する形で預金型のステーブルコインを発表し、2024年から運用を開始しています。
組織規模が比較的小さいからこそ、意思決定のスピードを活かして先行できたケースといえるでしょう。
出典:北國銀行

メガバンクは業界横断プラットフォームを志向する
一方、メガバンクや大手行が主導する取り組みは、単独行ではなく業界横断的な基盤づくりへと向かう傾向があります。
| 主体 | 取り組み内容 |
| ゆうちょ銀行 | ディーカレットDCPが提供する「DCJPY」を活用し、2026年度中を目途にトークン化預金の取扱開始を検討(2025年9月発表) |
| SBI新生銀行 | ディーカレットDCP・シンガポールのPartiorと連携し、DCJPYの導入および外貨建てトークン化預金の取扱を検討(2025年9月発表) |
| 三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行(3メガバンク)・日本銀行 | BIS(国際決済銀行)主導の「Project Agorá」に参画(2024年9月参画発表)。2026年5月には、トークン化された中央銀行預金・商業銀行預金を用いたクロスボーダー決済の実証結果が報告書として公表された |
こうした取り組みに共通するのは、一行単独ではなく複数の金融機関や中央銀行を巻き込みながら業界横断的なプラットフォームを構築しようとしている点です。前章の「銀行ネットワーク内で完結するトークン化預金」を、複数行連携の規模へ拡張する動きと捉えられます。
規模によって現実的な打ち手は変わる
ここまで見てきた実例を踏まえると、着手のしやすさは組織の規模によって大きく異なることが分かります。
- 地方銀行・民間企業:ベンチャー企業との連携により、単独での着手が比較的現実的
- メガバンク・大手行:業界横断的なプラットフォーム構築を志向し、複数の関係主体との調整が前提となる
専門家も、メガバンクが主導するような銀行間ネットワークの構築は、民間企業や地方銀行が単独で目指すには現実的でない規模の取り組みだと指摘しています。
自社がどちらの立場に近いかによって、参考にすべき事例は変わってきます。
事業会社によるステーブルコイン活用も動き始めている
金融機関だけでなく、事業会社側でもステーブルコインの活用が動き始めています。
決済手段としての導入を検討する事業会社が増えており、銀行が発行主体となるトークン化預金とは異なる文脈で、オンチェーン金融への関わり方が広がりつつあります。
自社が金融機関か事業会社かによっても、検討すべき着手領域は変わってきます。
セキュリティトークン(ST)とRWAトークン化
セキュリティトークン(ST)は、RWAという広い概念の中で、法律上「有価証券」に該当する下位概念です。本章では、この整理と規制上の位置づけ、そして社債・不動産受益権における先行事例を確認します。
STはRWAの法的な下位概念である
RWA(Real World Asset)という言葉と並んでよく登場するのが、セキュリティトークン(ST)です。この2つは混同されやすいため、まず関係性を整理します。
| RWA | ST | |
|---|---|---|
| 性質 | 業界共通の総称・技術トレンド | 法律上の分類 |
| 対象範囲 | 不動産・売掛債権・国債等、現実資産全般 | RWAのうち、金商法上「有価証券」に該当するもの |
| 規制根拠 | 対象資産の性質によって異なる | 金融商品取引法 |
RWAは、現実世界に存在する資産をブロックチェーン上のトークンとして表現する取り組み全般を指す、業界共通の広い概念です。
一方STは、そのRWAの中でも、日本の金融商品取引法(金商法)上「有価証券」に該当するものを指す、法的な下位概念にあたります。
つまりSTは常にRWAの一部ですが、RWAのすべてがSTというわけではありません。

電子記録移転権利として金商法の規制対象になる
STは、金商法上「電子記録移転権利」として位置づけられており、社債や不動産受益権など、そもそも有価証券に該当する資産をブロックチェーン上でトークン化したものがこれにあたります。
STの売買・募集の取扱い等を業として行う場合、原則として第一種金融商品取引業の登録が問題となります。
社債・不動産受益権のトークン化が先行事例となっている
現状、国内で発行が進んでいるSTは、社債と不動産受益権を裏付けとするものが中心です。
| 不動産ST | 社債ST | |
| 市場の状況 | STの中でも先行して市場が形成されている | 発行額はまだ小さく、トライアル的な発行が続いている段階 |
| 主なスキーム | 信託銀行が不動産を信託財産として受託し、受益権をトークン化して投資家に販売する「受益証券発行信託」方式が主流 | 従来の社債をトークン化する形が中心 |
| 投資対象・事例 | オフィスビル、ホテル、物流施設など、一般投資家が単独では投資しにくい物件 | NTT・TCリースが2026年2月にサステナビリティボンドとして発行/銀行の劣後債をトークン化する事例/ポイントを利払いや特典として付与する事例 |
不動産STが市場の中心を占める一方、社債STはまだ発展途上の段階にあると言えます。社債セキュリティトークンを起点に、社債市場全体の活性化につながるかが今後の注目点です。
海外の動き:トークン化預金をめぐる競争
海外、特に米国では、トークン化預金への取り組みが単独行の実験段階から、複数行が連携する段階へと急速に進んでいます。
| 段階 | 主体・取り組み | 概要 |
| 単独行 | JPMorgan(Kinexysブランド) | ドル建て預金トークン「JPM Coin(JPMD)」を、2025年11月にCoinbaseのレイヤー2ブロックチェーン「Base」上で機関投資家向けに提供開始。2026年時点で、Kinexys全体の処理額は累計3兆ドルを超える規模に達している。 |
| 銀行連合 | JPMorgan・Citi・Bank of America・Wells Fargo等、十数行 | 決済インフラ企業「The Clearing House」を通じ、共同のトークン化預金ネットワークを構築する計画を2026年6月に発表。 |
出典:
JPMorgan公式
The Clearing House(PR Newsrire)
単独行によるプラットフォーム構築が先行し、そこで得られた知見をもとに、業界全体を巻き込む共同インフラへと発展していく、という段階を踏んでいることが分かります。
ステーブルコインへの危機感が海外の推進力
この銀行連合の形成を後押ししているのが、ステーブルコインへの危機感です。The Clearing HouseのCEOであるDavid Watson氏は、この取り組みを「銀行業界にとって大きな一手」と位置づけ、オンチェーンの決済・金融という「根本的に異なる未来」に業界が向かっていると述べています。
背景にあるのが、預金がステーブルコインへ流出するリスクです。預金は銀行にとって貸し出しの原資であり、収益基盤そのものです。預金の一部がステーブルコインに交換されれば、その資金は発行体側の準備金へと移ります。
特に懸念されているのが金利面での競合です。ステーブルコインは通常、預金のような利息を付与しませんが、DeFiとの連携や発行体の商品設計次第では、高い利回りを得られる商品が登場し得ます。
銀行預金の金利は低水準にとどまりがちで、こうした選択肢が普及すれば預金者が資金を移す誘因になりかねません。
銀行連合によるトークン化預金ネットワークの構築は、この脅威への対抗策です。資金を規制された銀行システムの内部に留めたまま、ステーブルコインと同等の利便性を実現しようとする動きだといえます。
自社が着手する場合の現実的な選択肢
自社が着手する場合の現実的な選択肢は、規模と目的(決済か資産管理か)によって大きく変わります。
本章では、規模別のアプローチと、PoCにおけるベンダー選定の重要性を整理します。
規模に応じて現実的な着手領域は異なる
オンチェーン金融への関わり方は、組織の規模によって現実的な選択肢が大きく異なります。
| 規模 | 現実的なアプローチ | 参考事例 |
| メガバンク・大手行 | 業界横断的なプラットフォーム構築、複数行・中央銀行との連携 | ゆうちょ銀行・SBI新生銀行のDCJPY活用、3メガバンク・日本銀行のProject Agorá参画 |
| 地方銀行 | ベンチャー企業との連携による単独行での先行実装 | 北國銀行の預金型ステーブルコイン |
| 事業会社 | 決済手段としてのステーブルコイン導入検討 | ― |
専門家も指摘するとおり、業界横断的なプラットフォーム構築はメガバンククラスの体力があってはじめて現実的になる取り組みであり、民間企業や地方銀行が同じ規模感を目指すのは得策とはいえません。
むしろ地方銀行や事業会社にとっては、大企業ほどの規模を持たないからこそ、ベンチャー企業と機動的に連携し、小さく始められるという利点があります。自社がどちらの立場に近いかを踏まえて、参考にすべき事例を選ぶことが大切です。
決済用途か資産管理かで検討軸が変わる
- 決済用途を目的とする場合:JPYC等の決済用ステーブルコインが中心となり、事業会社でも比較的小規模から着手しやすい領域
- 資産管理を目的とする場合:トークン化預金やセキュリティトークンが対象となり、金融規制への対応や信託銀行・証券会社との連携が前提となる、金融機関としての免許・体制が必要な領域
両者は必要な体制も規制対応の重さも異なるため、まず目的を明確にしたうえで着手領域を絞り込むことが現実的な進め方です。
PoCはベンダー選定が成否を分ける
目的と規模感が定まったら、次に検討すべきはPoC(概念実証)のパートナー選定です。
オンチェーン金融の実装には、ブロックチェーンの技術的知見に加え、金融規制への理解が不可欠であり、この両方を備えたベンダーと組めるかどうかが、その後の展開スピードを左右します。
PoCの段階では、次のような観点を確認しておくとよいでしょう。
- 金融規制(資金決済法・金商法等)への対応実績があるか
- 自社の規模・業態に近い金融機関での実装経験があるか
- 決済用途と資産管理、どちらの領域を主戦場としているか
規制対応と技術実装の両面に知見を持つパートナーと組むことで、着手までのハードルを大きく下げられます。
まとめ
伝統金融のオンチェーン化は新しい金融商品ではなく、銀行や証券会社が担ってきた預金・決済・資産管理の仕組みをブロックチェーンという技術基盤に置き換える取り組みです。
DeFiとの違いは発行主体・管理主体の有無に加え、法的請求権やガバナンス、参加制限、準備資産の管理方法など複数の観点にあり、既存の免許事業者が発行主体である以上、規制対応力や預金保険といった信用の裏付けは維持されたまま基盤だけが刷新されます。
国内では地方銀行による機動的な先行実装と、メガバンクによる業界横断的なプラットフォーム構築が並行して進み、海外でも米国大手行がステーブルコインへの危機感を背景に急速に連合を形成しています。
この動きは規模や業態を問わず、あらゆる金融機関・事業会社にとって無縁ではなくなりつつあります。自社がどの立場から着手できるか、その見極めが次の一歩を左右します。