L2ガス代比較2026:8チェーン実測、差は1,700倍でも全部5円未満

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L2ガス代比較2026:8チェーン実測、差は1,700倍でも全部5円未満
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    L2(レイヤー2)のガス代は、チェーンによってどれくらい違うのでしょうか。主要な L2 8本で、送金・スワップ・NFT ミントの手数料を2026年9月24日に実測しました。最も安い OP Mainnet と最も高い zkSync Era の差は、最大で約 1,700 倍ありました。ただし、最も高いものでも 1 回 4.3 円で、8本すべてが 1 回 5 円未満でした。

    差は最大で約 1,700 倍。それでも8 本すべてが 1 回 5 円未満でした。

    月 100 万回の USDC 送金に換算すると、OP Mainnet で約 2 千円、zkSync Era で約 190 万円になります。本記事では、実測した手数料の表に加えて、手数料の中身(L1 のデータ代)、時間帯による揺れ、ウォレットの設定で最安値が変わる落とし穴までを示します。

    測定メモ

    • 測定日:2026年9月24日(18:33〜20:23 JST に 5 回採取し、中央値を使用)。時間帯の揺れは 9月17〜24日の過去 7 日を 3 時間おきに再計算
    • 対象:Base、OP Mainnet、Arbitrum One、zkSync Era、Scroll、Linea、Unichain、Soneium
    • 操作:ETH 送金、USDC 送金、スワップ(Uniswap v3 で 0.01 ETH → USDC)、NFT ミント(ERC-721 を 1 枚)
    • 方法:取引は送らず、各チェーン自身の手数料の仕組みから計算。計算方法は、本番の実際の取引の記録と照合済み
    • 円換算:1 ETH = 420,347 円(CoinGecko、2026年9月24日 18:33 JST)

    1. 3分サマリー

    • 安い順に、OP Mainnet・Soneium・Unichain(0.03 円以下)< Base(0.05〜0.3 円)< Arbitrum One・Scroll・Linea(0.2〜2 円)< zkSync Era(1.7〜4.3 円)でした。4 つの操作すべてで、最安は OP Mainnet、最高は zkSync Era です。
    • 差は最大で約 1,700 倍(スワップ)ですが、どれも 1 回 5 円未満です。
    • 手数料の中身で、チェーンは 2 つに分かれます。OP Mainnet と Scroll は手数料の 97% 以上が「L1 に取引データを載せる費用」です。Base・Arbitrum・Linea・Unichain は、それが数 % 以下で、ほとんどが L2 での実行費用です。
    • 時間帯の揺れは Scroll が最も大きく、過去 7 日で 30 倍以上動きました。zkSync Era と Linea は 7 日間まったく動きませんでした。
    • OP Stack 系の「最安」は、ウォレットの設定しだいで 3〜20 倍変わります。RPC が提案する上乗せ料金(tip)が、実際に取引が入っている水準より 1〜3 桁高いためです。

    2. どう測ったか

    L2 の手数料の比較は、公称値や、特定の日の取引を 1 件ずつ拾った数字が多く、「同じ操作を同じ条件で比べた」数字は多くありません。そこで、4 つの操作を 8 本のチェーンでそろえて計算しました。

    • 取引は 1 件も送っていません。本番のチェーンに対して「この取引を送ったらどうなるか」を計算する仕組み(残高などを仮に与えて実行を見積もる機能)を使い、実際に使われるガスの量を取りました。
    • 手数料の単価と L1 のデータ代は、各チェーン自身から取りました。L2 の手数料の計算方法はチェーンごとに違うため、それぞれのチェーンが公開している計算の仕組みを使っています。
    • 計算が合っているかは、本番の実際の取引で確かめました。たとえば OP Mainnet・Unichain・Soneium・Base では、実際の取引 24 件の記録と比べ、14 件で完全に一致、残りも ±1.5% 以内でした。
    • 操作の条件はそろえました。USDC 送金は相手がすでに USDC を持っている場合、NFT ミントは同じ最小の ERC-721 コントラクト、スワップは各チェーンの Uniswap v3 で最も厚いプールを使っています。
    • 上乗せ料金(tip)は、実際にブロックに入った取引の中央値を使いました。ウォレットの既定値を使った場合は、6章で別に示します。

    3. L2 8本のガス代の比較表

    L2 8本の手数料を対数目盛で示した図。OP Mainnetが0.0019〜0.0025円で最安、zkSync Eraが1.7〜4.3円で最高
    チェーンごとの手数料の幅(4 操作、1 回あたり、対数目盛)
    チェーンETH 送金USDC 送金スワップNFT ミント
    OP Mainnet0.0020.0020.0030.002
    Soneium0.0040.0050.0120.006
    Unichain0.0060.0110.0260.017
    Base0.0540.1150.3090.185
    Arbitrum One0.1820.3861.140.617
    Scroll0.5550.7390.9790.548
    Linea0.3490.7671.921.13
    zkSync Era1.771.874.331.66

    単位は円(1 回あたり)。2026年9月24日の 5 回の採取の中央値。

    操作ごとの最安と最高の差は、ETH 送金で 944 倍、USDC 送金で 992 倍、スワップで 1,721 倍、NFT ミントで 874 倍でした。OP Mainnet は L2 側の単価がほぼゼロ(1 ガスあたり約 800 wei)のため、倍率が極端に大きく出ます。Base と zkSync Era の比で見ても 9〜33 倍の差があります。

    スワップは、チェーンごとにプールの厚さが違うため、同じ操作でも使うガスが変わります。Soneium と Scroll では、0.01 ETH のスワップで価格帯をまたぐ処理が入り、ガスが増えました。0.0001 ETH の小さなスワップなら、この 2 本も他のチェーンと同程度のガスでした。

    zkSync Era は、一般的な EVM 用にコンパイルしたコントラクトをそのまま置くと、専用にコンパイルし直した場合の約 3 倍のガスを使いました(NFT ミントで 5.06 円 対 1.66 円)。表は専用にコンパイルした場合の値です。

    4. 手数料の中身:L1 のデータ代が効くチェーン、効かないチェーン

    L2 の手数料は、おおまかに「L2 で取引を実行する費用」と「取引データを L1(Ethereum)に載せる費用」の 2 つでできています。その割合を操作ごとに出しました。

    チェーンETH 送金USDC 送金スワップNFT ミント
    OP Mainnet99.4%98.7%97.3%97.8%
    Scroll99.8%99.7%99.2%99.3%
    Soneium76.0%59.6%30.6%47.8%
    Unichain19.9%10.4%5.7%6.7%
    Linea9.2%4.7%2.1%2.9%
    Arbitrum One3.1%2.0%1.1%0.7%
    Base2.5%1.2%0.3%0.7%
    zkSync Era—約 2%—約 3%

    手数料の合計に占める L1 データ代の割合(中央値)。zkSync Era は L1 データ代がガスの中に含まれる仕組みで、1 件ごとには分けられないため、推定できたものだけを載せています。

    興味深いのは、L1 データ代の金額そのものは、どのチェーンでも小さく、あまり差がないことです。ETH 送金 1 回あたりで、OP Stack 系と Base が 0.0005〜0.002 円、Arbitrum One が約 0.004 円、Linea が約 0.03 円でした。例外は Scroll で、0.3〜0.5 円と 1 桁以上高く出ました。

    割合の違いを生んでいるのは、主に L2 側の単価です。Base の L2 の基本料金は下限の 0.005 gwei、Arbitrum One は 0.02 gwei ですが、OP Mainnet は約 800 wei、Soneium は約 300 wei と、ほぼゼロでした。OP Mainnet が最安なのは、L1 データ代が安いからではなく、L2 側の実行費用がほとんどかかっていないからです。

    5. 時間帯でどれだけ揺れるか(過去 7 日)

    手数料は時間帯で動きます。長く待って測る代わりに、過去 7 日(9月17〜24日)の各時点のブロックから、単価と L1 データ代を 3 時間おきに取り直し、同じ操作の手数料を計算し直しました(57 時点)。

    チェーン(ETH 送金)安い時(下位 10%)中央値高い時(上位 10%)最大
    OP Mainnet0.0000.0010.0040.010
    Soneium0.0010.0020.0080.018
    Unichain0.0050.0050.0070.010
    Base0.0530.0540.0560.060
    Arbitrum One0.1780.1800.1930.233
    Scroll0.1090.2571.213.73
    Linea0.3490.3490.3490.349
    zkSync Era1.761.761.761.76

    単位は円。ETH 価格は採取の中央値 419,599 円に固定し、手数料そのものの揺れだけを見ています。

    • Scroll は L1 の混み具合に強く引きずられ、安い時と最大で 30 倍以上の差がありました。測定日(0.555 円)は、7 日の中では高めの時間帯でした。
    • Base と Arbitrum One は ±10% 程度で安定していました。
    • zkSync Era と Linea は 7 日間、単価が一度も変わりませんでした。どちらも手数料の下限に張り付いていたためです。混雑すれば上がりますが、今の利用量では下限で落ち着いています。

    6. 落とし穴:ウォレットの設定で「最安」が 3〜20 倍変わる

    手数料には、優先して取り込んでもらうための上乗せ料金(tip)が含まれます。表 1 では、実際にブロックに入った取引の tip の中央値を使いました。ところが、多くのウォレットが使う「RPC が提案する tip」で計算すると、OP Stack 系の数字は大きく変わります。

    チェーンETH 送金(実勢の tip → 提案の tip)スワップ(同)
    OP Mainnet0.001 → 0.010 円0.002 → 0.052 円
    Unichain0.006 → 0.014 円0.030 → 0.073 円
    Soneium0.003 → 0.011 円0.012 → 0.089 円
    Base・Scroll変化なし変化なし

    この表は tip の違いだけを比べるため、1 回の採取の値で計算しています。表 1(5 回の中央値)とは端数が少し異なります。

    OP Stack 系の公開 RPC は、tip として一律 0.001 gwei(1,000,000 wei)を提案しました。一方、実際にブロックに入っている取引の tip は、OP Mainnet で 353 wei、Unichain と Soneium で約 100,000 wei と、1〜3 桁低い水準でした。提案どおりに払うと、最安のチェーンでも 3〜20 倍払っていることになります。

    7. 取引量に換算するとどうなるか

    表 1 の USDC 送金の手数料で、月 100 万回送った場合を計算しました。

    チェーン月 100 万回の USDC 送金
    OP Mainnet約 1,900 円
    Soneium約 4,700 円
    Unichain約 1.1 万円
    Base約 11.5 万円
    Arbitrum One約 38.6 万円
    Scroll約 73.9 万円
    Linea約 76.7 万円
    zkSync Era約 187 万円

    2026年9月24日の単価で計算。単価は時間帯や ETH 価格で変わります。

    月 100 万回では、月の費用が約 1,900 円から約 187 万円まで開きます。月 1,000 回なら、最も高い zkSync Era のスワップでも月約 4,300 円、Base のスワップで約 300 円です。

    8. 開発者向け:本物のお金を使わずに手数料を測る方法

    今回の測り方と、途中でつまずいた点です。

    基本の流れ

    1. ガスの量:本番チェーンを手元に複製(Foundry の anvil で fork)し、送り手になりすまして 1 件だけ実行し、実際の使用量を取ります。eth_estimateGas は「足りる上限」を探すため、スワップなどでは実際より 2 割ほど多く出ます。
    2. 残高やコントラクトを仮に与える:eth_call や eth_estimateGas の state override を使えば、資金の入っていないアドレスでも実行を見積もれます。
    3. 単価と L1 データ代は、必ず本番チェーンから取る:手元の複製は、L2 独自の手数料の計算を再現しません。

    チェーンごとの L1 データ代の取り方と、つまずいた点

    • OP Stack 系(OP Mainnet・Unichain・Soneium)と Base:Base は OP Stack を離れましたが、L1 データ代の計算は同じ仕組みです。GasPriceOracle コントラクト(0x420000000000000000000000000000000000000F)の getL1Fee に、署名前の取引データを渡します。4 本合わせて、実際の取引の記録と 24 件中 14 件で完全に一致しました。
    • Arbitrum One:NodeInterface の見積もり関数を使います。ただし、見積もりは実際より 18〜32% 大きく出ました。また gasEstimateComponents は state override を引き継がないため、gasEstimateL1Component に切り替える必要がありました。公式の公開 RPC は過去の状態を持っていないので、過去の時点で計算するには別の RPC が要ります。
    • Scroll:公開 RPC が eth_estimateGas の state override を受け付けません(too many arguments, want at most 2)。さらに 2025年12月の Galileo アップグレード以降、L1 データ代は圧縮後のサイズで決まるため、署名済みの取引をそのまま渡すと 1.2〜3.2 倍の過大になりました。手元で圧縮(zstd)した長さを渡すと、実際の取引 20 件中 13 件で 1 wei まで一致しました。
    • zkSync Era:EVM とは別の仕組み(EraVM)なので、手元の複製では再現できません。zks_estimateFee は実際の約 2 倍の上限を返すため、実際の取引で測った比率(約 0.52)で補正しました。
    • Linea:linea_estimateGas の単価を使いました。ただし同じ関数が返すガスの量は、実際より約 1 割少なく出ました。
    • 複数の取引をまとめて試算する eth_simulateV1は、8 本のうち Base と OP Mainnet でしか動きませんでした。

    公開 RPC の制限にも当たりました。Base の公開 RPC は、短い間隔で呼ぶと「Too Many Requests」を多く返し、過去 7 日分の計算では 57 時点中 31 時点で一度失敗しました。間隔を空けて取り直すことで全時点をそろえています。

    9. この結果の読み方

    • 2026年9月24日の数字です。L1(Ethereum)が混雑すれば、L1 データ代の割合が大きい Scroll や Soneium を中心に順位が変わりえます。
    • スワップは「同じ操作」でも「同じ条件」ではありません。プールの厚さや手数料帯がチェーンごとに違います。
    • NFT ミントは最小限の実装で測りました。実在のコレクションは、機能が多い分ガスも多くなります。
    • zkSync Era は、手数料の内訳(L1 データ代の割合)を正確には出せませんでした。合計額は、実際の取引との比率で補正した値です。

    10. よくある質問

    2026年時点で一番ガス代が安い L2 はどれですか?

    今回の 8 本では、4 つの操作すべてで OP Mainnet が最安でした(1 回 0.002〜0.003 円)。次いで Soneium、Unichain です。ただし、ウォレットが提案どおりの tip を払う設定だと、これらのチェーンの手数料は 3〜20 倍になります。

    L2 のガス代はなぜチェーンによって違うのですか?

    主に L2 側の実行単価の違いです。L1 に取引データを載せる費用は、どのチェーンでも小さく、あまり差がありませんでした(Scroll を除く)。L2 側の単価は、各チェーンの最低料金の設定や混み具合で決まります。

    Base と Arbitrum はどちらが安いですか?

    今回の測定では Base の方が安く、4 つの操作とも Arbitrum One の約 3 割の手数料でした(ETH 送金で 0.054 円 対 0.182 円)。どちらも過去 7 日の揺れは小さく、安定していました。

    11. まとめ

    2026年9月時点で、主要な L2 の手数料は 1 回あたり 0.002 円から 4.3 円でした。最大で約 1,700 倍の差があり、どれも 1 回 5 円未満でした。

    最安のチェーンが安いのは L2 側の単価がほぼゼロだからで、L1 のデータ代はどのチェーンでも小さく出ました。揺れは Scroll が最も大きく、zkSync Era と Linea は 7 日間動きませんでした。OP Stack 系では、RPC が提案する tip を使うと手数料が 3〜20 倍になりました。

    この記事の主要ポイント

    • L2 8本の手数料は 1 回 0.002〜4.3 円。最安 OP Mainnet、最高 zkSync Era、差は最大約 1,700 倍
    • OP Mainnet と Scroll は手数料の 97% 以上が L1 データ代。Base・Arbitrum は数 % 以下
    • 過去 7 日の揺れは Scroll が最大(30 倍以上)。zkSync Era と Linea は下限のまま動かず
    • OP Stack 系は、RPC 提案の tip を払うと手数料が 3〜20 倍になる
    • 月 100 万回の USDC 送金なら、約 1,900 円から約 187 万円まで差が開く

    関連コラム

    参考情報

    • OP Stack の手数料の仕組み — https://docs.optimism.io/op-stack/transactions/fees / GasPriceOracle の仕様 — https://specs.optimism.io/protocol/predeploys.html
    • Arbitrum のガスと手数料 — https://docs.arbitrum.io/ (gas-and-fees、NodeInterface)
    • Scroll「Galileo upgrade is now live」— https://scroll.io/technology/galileo-upgrade-is-now-live
    • zkSync Era の pubdata の課金 — https://docs.zksync.io/zksync-protocol/era-vm/transactions/fee-model/how-we-charge-for-pubdata
    • Linea のガス代と linea_estimateGas — https://docs.linea.build/network/how-to/gas-fees
    • 本記事の数値はすべて XTELA による実測(2026年9月24日)。計算スクリプトと生データを保存している

    12. 著者:XTELAについて

    本記事の本文は、L2 の手数料の実態を中立的に示すことを目的としています。ここからは、測定を行った XTELA 自身について共有します。

    XTELA とは

    XTELA は Web3 と AI の設計・開発スタジオです。既存の L2 上での dApp 構築から、自社 L2 の構築、スマートコントラクトの監査、運用基盤まで、事業者が Web3 を自社のプロダクトに組み込むための技術面を支援しています。

    本記事の測定は XTELA が行いました。想定する取引の種類と回数が決まっていれば、同じ方法で自社のコントラクトの手数料を見積もれます。

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