NFTの画像は消えるのか?2,260件を実測、保存先で残る率に大差

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NFTの画像は消えるのか?2,260件を実測、保存先で残る率に大差
目次(タップで折りたたみ)

    NFTの画像やメタデータは、本当に消えるのでしょうか。Ethereum で発行された NFT 2,260 件を 2026年9月24日に実際に取りに行ったところ、無作為に選んだ NFT では約4割がメタデータに届きませんでした。残っているかどうかを分けていたのは、発行時に選んだ「置き場所」です。オンチェーンに書いたものは 94.5%、IPFS は 84.4% が画像まで取れた一方、発行者の自前サーバーに置いたものは 39.6% しか取れませんでした。

    NFT が「見えなくなる」原因の大半は、画像ではなくその手前のメタデータが置かれたサーバーが止まることでした。

    メタデータまで届いた NFT は、9割以上が画像まで取れました。本記事は、2,260 件の取得記録をまとめた実測レポートです。

    測定メモ

    • 測定日:2026年9月24日(取得は 18:13〜21:22 JST)
    • 対象:Ethereum メインネットの ERC-721。無作為に選んだ 2,000 件(2018〜2025年の各年 250 件)と、有名コレクション 52 個から 260 件
    • 方法:各トークンの tokenURI を読み、メタデータと画像を実際に取得。失敗したものは 20 分以上あけて最大 4 回まで取り直し
    • 「取れた」の定義:メタデータは JSON として読めたこと、画像は画像・動画などのファイルとして読めたこと

    1. 3分サマリー

    • 無作為に選んだ NFT のうち、tokenURI を返したものの 39.9% はメタデータに届きませんでした(1,645 件中)。画像まで届かないものは 43.5% です。
    • 有名コレクションは、tokenURI を返したものの 95.9% が画像まで取れました。それでも 52 コレクション中 2 つは、メタデータが取れませんでした。
    • 保存先で大きな差があります。画像まで取れた割合は、オンチェーン 94.5%、IPFS 84.4%、Arweave 80.5%、発行者の https サーバー 39.6%、http サーバー 10.8% でした。
    • 古いものほど届きません。2018年発行は 6.8%、2025年発行は 83.1% がメタデータまで取れました。ただし、https サーバーに置いたものは 2025年発行でも半分以上が取れませんでした。
    • 届かない理由の多くは、発行者側のサーバーの停止です。名前が引けない(ドメイン切れなど)、404、サーバーエラーで、メタデータ失敗の 6 割近くを占めました。
    • 2026年9月21日に廃止された公開ゲートウェイ ipfs.io の URL を tokenURI に直接書いた NFT は、その URL では 73 件中 1 件も開けませんでした。ただし中身は、別の経路で 64 件取れました。

    2. どう調べたか

    「NFT は消える」という話はよく聞きますが、どれくらいの割合で、どの保存先で起きているのかを示した数字は多くありません。そこで、実際に取りに行って数えました。

    2つの標本

    • 無作為の標本(2,000 件):2018〜2025年の各年から、ERC-721 の発行(mint)を無作為に 250 件ずつ選びました。1 回の取引で数千件を発行するコレクションが標本を占めないよう、時間をずらした窓ごとに 1 件だけ選んでいます。
    • 有名コレクションの標本(260 件):よく知られたコレクション 52 個から 5 件ずつ選びました。コントラクトは、チェーン上の名前(name())で本物か確かめています。

    「取れた」の判定

    各トークンの tokenURI を読み、指している先からメタデータ(JSON)を取得しました。続いて、メタデータに書かれた画像(image、なければ animation_url など)を取得しました。メタデータは JSON として読めたら、画像は画像・動画などのファイルとして開けたら「取れた」としています。

    回線の不調を「消えた」と数えないために

    • 失敗したトークンは、20 分以上あけて最大 4 回まで取り直しました。1 回目では取れず、2 回目以降で取れたものが、メタデータで 49 件、画像で 85 件ありました。1 回だけの測定なら、取得率を数ポイント低く見積もるところでした。
    • IPFS は、手元で動かした IPFS ノードと、使える公開ゲートウェイの複数の経路で試し、どれか 1 つで取れれば「取れた」としました。Arweave も複数の経路で試しています。
    • 確実に存在するファイルも 60 秒ごとに取り続け、回線が不調だった時間帯を記録しました。最終的に失敗とした 719 件のうち、失敗がすべて不調な時間帯に重なっていたものは 0 件でした。

    3. 無作為に選んだ NFT の約4割はメタデータに届かない

    無作為の標本有名コレクション
    標本数2,000260
    tokenURI を返したもの1,645245
    うち、メタデータが取れた60.1%95.9%
    うち、画像まで取れた56.5%95.9%

    無作為の標本 2,000 件のうち 355 件は、そもそも tokenURI を返しませんでした。173 件はトークンがあるのに tokenURI の呼び出しが失敗したもので、ほとんど(169 件)は tokenURI という関数そのものを持たないコントラクトでした(初期のゲームや、別の仕組みでメタデータを出す ENS など)、182 件は焼却済みや期限切れで、トークン自体がもう存在しないものです。2,000 件全体を分母にすると、画像まで取れたのは 46.5% でした。

    数え方を変えても結論は同じです。発行数の多いコントラクトを重く数えると画像まで取れた割合は 44.7%、コントラクトごとに均等に数えると 62.7% でした。どの数え方でも、3〜5 割は届きません。

    有名コレクションは、ほとんどが届きました。取れなかったのは 2 つです。Kaiju Kingz はメタデータ API のドメインの名前が引けず、Gods Unchained は旧 API が 404 を返しました(いずれも 2026年9月24日時点)。

    4. NFT の保存先で「残る率」は大きく違う

    tokenURI の形から、メタデータの置き場所を分けて集計しました。

    メタデータの置き場所ごとに、画像まで取れた割合を示した横棒グラフ。オンチェーン94.5%、IPFS84.4%、Arweave80.5%、IPFSゲートウェイURL77.2%、自前httpsサーバー39.6%、自前httpサーバー10.8%
    置き場所ごとの「画像まで取れた」割合(無作為の標本)
    メタデータの置き場所件数メタデータが取れた画像まで取れた
    オンチェーン(data:)18299.5%94.5%
    IPFS(ipfs://)43589.7%84.4%
    Arweave4180.5%80.5%
    IPFS(ゲートウェイの URL を直接記載)7979.7%77.2%
    発行者の https サーバー73342.6%39.6%
    発行者の http サーバー6513.8%10.8%
    tokenURI が空文字・URI として読めない1100%0%

    無作為の標本で、最も多い置き場所は発行者の https サーバーでした(733 件)。そして、それが最も失われやすい置き場所でもありました。

    もう1つ分かったのは、失われるのはほとんどが「メタデータの段階」だということです。メタデータまで取れた NFT について、画像の置き場所ごとに取得率を見ると、オンチェーン 100%、Arweave 97.4%、IPFS 94.4%、https サーバーでも 92.0% でした。画像をどこに置くかより、メタデータをどこに置くかの方が、NFT が見え続けるかどうかを大きく左右しています。

    なお、オンチェーンでも画像まで取れた割合が 94.5% にとどまるのは、メタデータはオンチェーンに書き、画像は IPFS や https に置いているものがあるためです。オンチェーンのメタデータが読めなかったのは 1 件だけで、JSON の書き損じ(カンマ抜け)でした。

    5. 古い NFT ほど届かない

    発行年tokenURI あり / 標本メタデータが取れた画像まで取れた
    2018118 / 2506.8%5.1%
    2019228 / 25021.9%16.2%
    2020215 / 25052.1%50.7%
    2021219 / 25078.1%76.3%
    2022239 / 25061.1%58.2%
    2023242 / 25076.9%73.1%
    2024195 / 25081.0%73.8%
    2025189 / 25083.1%79.9%

    2018〜2019年の NFT は、ほとんど届きませんでした。この時期は初期のブロックチェーンゲームが中心で、tokenURI という関数を持たないものや、運営サーバーがすでに止まっているものが大半です。2018年は 250 件が 55 のコントラクトにしか分かれておらず、この年の数字は少数のゲームの状態をほぼそのまま映しています。

    一方で、置き場所の選ばれ方も年とともに変わっていました。tokenURI を返したものに占める https サーバーの割合は、2019年の 77.2% から 2025年には 18.0% まで下がり、代わりに IPFS とオンチェーンが増えています。2025年はオンチェーンが 34.4% を占めました。

    ただし、https サーバーに置いたものは、2025年に発行されたものでも 34 件中 19 件がすでに取れませんでした。1 年もたたずに半分以上です。件数が少ないため、幅はあります。

    6. NFT はどうやって見えなくなるのか

    無作為の標本で、メタデータが取れなかった 657 件の理由(最後の試行の結果)は次のとおりでした。

    理由件数主な置き場所
    ドメインの名前が引けない147https 127、http 20
    404 / 410(ファイルが無い)145https 140、Arweave 5
    5xx(サーバーエラー)95https 91
    tokenURI が空文字94—
    IPFS でどこからも取れない60ipfs:// 45、ゲートウェイ URL 15
    JSON の代わりに Web ページが返る48短縮 URL、転用されたドメインなど
    証明書などの TLS エラー32https 30
    その他(URI として読めない、403、時間切れなど)36—

    上位 3 つ(名前が引けない、404、サーバーエラー)で 387 件、6 割近くになります。どれも、発行者がサーバーやドメインを維持しなくなったときに起きることです。さらに、ドメインが第三者に渡り、JSON の代わりにまったく別の Web ページが返ってくる例もありました。

    IPFS に置いたものが取れない理由は、仕組みが違います。IPFS は、そのファイルを持っているノード(ピン留めしている人)がいなければ取れません。最終的に取れなかった IPFS の 79 ファイルを調べると、44 ファイルは「このファイルを配っている」と登録しているノードが 1 つもありませんでした。発行時にピン留めを契約したサービスが止まったり、契約が切れたりしたものと考えられます。

    「オンチェーンなら永遠」にも小さな例外がありました。オンチェーンで画像を組み立てる重い tokenURI は、読み出しに使うサービス(RPC)によってはエラーを返します。Nouns の 1 件は、試した RPC のうち 5 つでエラー、3 つで正常に読めました。データは消えていなくても、読み出す側の上限で読めないことがあります。

    7. 廃止された ipfs.io の URL を書いた NFT は、その URL では開けなかった

    IPFS に置いたメタデータを、tokenURI に ipfs://… ではなく https://ipfs.io/ipfs/… のようなゲートウェイの URL で書いている NFT があります。これらを書かれた URL のまま開いた結果が次の表です。

    書かれていたゲートウェイ参照数書かれた URL で取れた別の経路で中身が取れた
    ipfs.io73064
    *.mypinata.cloud(専用ゲートウェイ)462746
    gateway.pinata.cloud372632
    ipfs.infura.io807
    *.nftstorage.link / nftstorage.link1109

    背景には、IPFS の公開ゲートウェイの廃止があります。IPFS プロジェクトは 2026年に入って ipfs.io と dweb.link の縮小を段階的に進め、8月にサーバーからのアクセスの回数制限を始め、2026年9月21日にこの 2 つの公開ゲートウェイを廃止しました。ブラウザで開いた場合は、ブラウザの中で IPFS を読む方式(inbrowser.link)へ案内されます。測定日の 9月24日には、どちらも 429 を返しました。nftstorage.link と w3s.link も、転送先が ipfs.io や dweb.link だったため、同じく取れませんでした。ipfs.infura.io は 2022年に公開ゲートウェイとしての提供を終えています。

    ただし、中身が消えたわけではありません。ipfs.io の URL を書いた 73 件のうち 64 件は、別の経路で同じファイルが取れました。取れなくなったのは「その URL」です。ipfs:// の形で書かれた NFT は、読む側が経路を選べるため、今回の廃止の影響を受けていませんでした。

    8. この結果の読み方

    • 「取れない」は「永久に消えた」とは限りません。IPFS で取れなかったファイルのうち 34 ファイルは、配っているノードの登録が残っていました。条件によっては取れる可能性があります。
    • ブラウザやマーケットプレイスでは見える場合があります。今回はサーバー側から取りに行った結果です。ipfs.io の URL はブラウザではブラウザ内で IPFS を読む方式に案内されますし、マーケットプレイスが画像をキャッシュしていれば利用者には見えます。
    • 無作為の標本は、美術作品の NFT だけではありません。ドメイン(ENS など)、DeFi のポジション、ゲームのアイテムも含む、ERC-721 の発行全体からの標本です。ERC-1155 は含んでいません。
    • 2026年9月24日時点の結果です。サーバーやゲートウェイの状況は変わります。

    9. よくある質問

    NFT の画像が消えても、NFT そのものは残りますか?

    残ります。チェーン上に記録されているのは「誰がどのトークンを持っているか」と、tokenURI(メタデータの場所)です。消えるのはその先のメタデータや画像なので、所有の記録はあっても、何の NFT か分からなくなります。

    IPFS に置けば NFT は永久に残りますか?

    自動的には残りません。IPFS は、誰かがそのファイルを持ち続けて(ピン留めして)いる間だけ取れます。今回、IPFS に置いたメタデータの 89.7% は取れましたが、取れなかったものの多くは、配っているノードが 1 つも登録されていませんでした。

    自分が持っている NFT の画像が表示されないとき、何が原因ですか?

    多いのは、発行者のサーバーの停止やドメイン切れです(今回の失敗の 6 割近く)。tokenURI がゲートウェイの URL で書かれている場合は、そのゲートウェイが使えなくなっているだけで、別のゲートウェイからは見られることもあります。

    オンチェーン NFT なら絶対に安全ですか?

    今回の測定では最も残っていました(メタデータ 99.5%)。ただし、画像を別の場所に置いているものは画像が取れないことがあり、重い処理で画像を組み立てるものは、読み出すサービスによっては読めないことがありました。

    10. まとめ

    無作為に選んだ NFT の約4割は、2026年9月の時点でメタデータに届きませんでした。分かれ目は発行時の置き場所で、発行者のサーバーに頼った NFT ほど失われていました。有名コレクションでも例外ではなく、新しく発行されたものでも、自前サーバーに置いたものは 1 年たたずに半分以上が取れなくなっていました。

    失われたもののほとんどはメタデータの段階で止まっており、その原因の 6 割近くは発行者側のサーバーやドメインの停止でした。IPFS やオンチェーンに置かれたものは、同じ時期に発行されたものでも残る率が高く出ました。

    この記事の主要ポイント

    • 無作為に選んだ NFT の 39.9% はメタデータに届かなかった(2,260 件を最大 4 回取得)
    • 画像まで取れた割合は、オンチェーン 94.5%、IPFS 84.4%、自前 https サーバー 39.6%
    • 失われるのはほとんどがメタデータの段階。原因の 6 割近くは発行者側のサーバー停止
    • 2026年9月21日に廃止された ipfs.io の URL を tokenURI に書いた NFT は、その URL では 1 件も開けなかった(中身は 9 割近く別経路で取れた)
    • 古いものほど届かない。2018年発行は 6.8%、2025年発行は 83.1% がメタデータまで取れた

    関連コラム

    参考情報

    • EIP-721: Non-Fungible Token Standard(tokenURI とメタデータの JSON 形式)— https://eips.ethereum.org/EIPS/eip-721
    • IPFS Blog「Beyond sponsored gateways」(2026-08-25)— https://blog.ipfs.tech/2026-08-beyond-sponsored-gateways/
    • IPFS 公開ゲートウェイの変更スケジュール — https://gatewaychanges.ipfs.io/
    • Interplanetary Shipyard「ipfs.io / dweb.link のブラウザアクセスを inbrowser.link へ」(2026-05-11)— https://ipshipyard.com/blog/2026-ipfs-gateways-redirect-inbrowser-link/
    • 本記事の数値はすべて XTELA による実測(2026年9月24日)。標本・全取得記録・集計スクリプトを保存している

    11. 著者:XTELAについて

    本記事の本文は、NFT の保存先ごとの実態を中立的に示すことを目的としています。ここからは、測定を行った XTELA 自身について共有します。

    XTELA とは

    XTELA は Web3 と AI の設計・開発スタジオです。NFT の発行設計、マーケットプレイス、スマートコントラクト、ウォレットまで、事業者が Web3 を自社のプロダクトに組み込むための技術面を支援しています。

    本記事の測定は XTELA が行いました。「メタデータの置き場所」「tokenURI の書き方」「撤退時の計画」は、NFT の発行設計で最初に決めておきたい項目です。

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    これから発行する NFT の保存先の設計から、発行済みコレクションの点検・移行の検討まで、本記事の観点に沿って整理します。

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