Helium(HNT)徹底解説 2026|Wireless DePIN最大手の事業モデル・初のデフレ月達成・日本でのLocal 5G適用
2026/04/22
2026/04/22
Helium(HNT)は、個人設置の小型ホットスポットで分散型無線ネットワーク(LoRaWAN IoT + コンシューマー向け5G/LTE)を構築するDePINの先駆者です。2026年3月時点でHelium Mobile加入者67万超、IoTホットスポット376,000+、月次収益$2.5M、2025年10月に初のデフレ月を達成し、DePIN完全マップ 2026で20点(Top 10)を獲得しました。
本記事では、Heliumの事業モデル(Helium Mobile・IoT・Covered 5G)、Burn-and-Mint Equilibrium(BME)トークン経済、Proof of Coverage、T-Mobile統合、2025-2026年のプラン変更、そして日本でのLocal 5G × DePIN適用の可能性を、2026年4月時点の最新情報で徹底解説します。
Heliumのひと言定義: 個人のホットスポット設置でT-Mobileネットワークと統合されたコンシューマー5G MVNOを実現した、BtoCサブスクリプション型DePINの唯一の成功例。
目次
- Heliumとは何か — Wireless DePIN先駆者
- 2026年4月時点の主要指標
- 事業モデル — Helium Mobile・IoT・Covered 5Gの3事業
- 収益構造 — 100%バーン方針とHelium Mobile主軸
- HNT/MOBILE/IOT/DCトークン設計とBME
- ネットワーク成長モデル — IoT→5Gの二段階展開
- ロードマップと2026年のプラン変更
- 現在地点 — 2025年10月初のデフレ月達成
- 直面している6つの課題
- 日本市場への含意 — Local 5G × DePINの設計
- FAQ
1. Heliumとは何か — Wireless DePIN先駆者
Heliumは2019年、Nova Labs(当時Helium Inc.)がローンチしたDePINプロジェクトです。個人が$300-500のホットスポット機器を自宅に設置し、周辺IoTデバイスにデータ転送を提供することで、HNTトークンを獲得する仕組みを世界で初めて実装しました。
1-1. DePINの原型としてのHelium
Heliumは2019-2021年のピーク時に80万台超のホットスポットを抱え、「People's Network」(民の網)として注目されました。その後2022年にHelium Mobile(米国5G)へ事業領域を拡大し、2023年4月にL1をSolanaに移行。2025年10月には初のデフレ月(バーン > 発行)を達成しています。
HeliumはDePIN業界において、以下の「最初」を多数達成しています。
- 分散ワイヤレスネットワークの商用化
- コンシューマー向けBtoCサブスク成功事例(Helium Mobile 67万加入者)
- 大手キャリアとの本格統合(T-Mobileローミング)
- Burn-and-Mint Equilibriumの大規模実装
1-2. 基本情報
- 公式サイト: https://helium.com / hellohelium.com(Helium Mobile)
- ネイティブトークン: HNT(基軸)+ MOBILE(モバイル用サブトークン)+ IOT(IoT用サブトークン)+ DC(Data Credits、$0.00001固定)
- ベースチェーン: Solana(2023年4月Ethereumから移行)
- 運営主体: Helium Foundation(プロトコル運営)+ Nova Labs(Helium Mobile事業会社)
- DePINカテゴリ: Wireless(IoT + Mobile)
2. 2026年4月時点の主要指標
| 指標 | 2026年4月時点の実績 |
|---|---|
| Helium Mobile加入者 | 670,000+(2026年3月時点)、月間14K新規 |
| IoTホットスポット | 376,000+(アクティブ) |
| モバイルホットスポット | 100,000+ |
| 国際カバレッジ | IoT 約80カ国、Mobile 米国のみ |
| 月次収益 | $2.5M(2026年3月、過去最高) |
| 月間HNTバーン | $2.3M超 |
| バーン由来ARR | $18.3M(2025年Q2基準) |
| Helium Mobile収益シェア | 全収益の90%超 |
| データ転送量(2025 Q2) | 2,721TB(前四半期比+138%) |
| HNT総供給上限 | 223,000,000 |
| デフレ月達成 | 2025年10月(初) |
特筆すべきは、2026年3月の月次収益$2.5Mが過去最高を更新したこと、Helium Mobile加入者が67万人と、2024-2025年の12-13万人から5倍以上拡大したことです。BtoCサブスク型DePINとして、Heliumは唯一無二の成功を築いています。
3. 事業モデル — Helium Mobile・IoT・Covered 5Gの3事業
3-1. 3つの事業セグメント
- Helium Mobile(主力・収益の90%超): 米国向けMVNO型5G/LTEサービス。$15/月Airプラン、$30/月Unlimitedプラン。T-Mobileネットワークとローミング統合で全米カバー
- Helium IoT(ロングテール): LoRaWAN対応IoTデバイス向けデータパケット転送。農業センサー、GPSトラッカー、環境モニター、資産管理など。DC(Data Credits)による従量課金
- Covered 5G(BtoB): 企業向け5Gデータ転送卸売。エンタープライズ構内5GやMVNO事業者向け
3-2. Helium Mobileの革新性
Helium Mobileは、既存の米国MVNO(Google Fi、Mint Mobile等)と比べて2つの革新を持ちます。
- 価格: $15-30/月でUnlimited提供(AT&T/Verizon/T-Mobileメインブランドの1/3以下)
- ネットワーク構造: T-Mobileローミング + Helium分散ホットスポットのハイブリッド。都市部ではHelium分散網、郊外ではT-Mobileローミングで実用品質担保
3-3. 既存Web2の代替
| セグメント | 代替対象 | Heliumの優位性 |
|---|---|---|
| モバイル | AT&T、Verizon、T-Mobile等のメインキャリア | 1/3以下の価格でUnlimited |
| IoT | AT&T IoT、Sigfox、Senet、Actility等の法人LoRaWAN | 月額数ドルで世界展開可能 |
| 企業5G | 構内5Gベンダー、MNOのエンプラ向け | ホットスポット活用の柔軟なカバレッジ |
4. 収益構造 — 100%バーン方針とHelium Mobile主軸
4-1. マネーフロー5段階
- 顧客がサブスク(USD、Helium Mobile)またはDC購入(IoT)で支払い
- DC購入時にHNTがバーンされてDCが発行される(Burn-and-Mint Equilibrium)
- ホットスポットオーナーはカバレッジ提供+データ転送実績でMOBILE/IOT報酬を受領
- MOBILE/IOTトークンはHNTに換金可能(プールレート調整)
- Helium Mobile事業の純収益は100%HNTバーンに回される(2025年8月以降、以前は80%)
4-2. 参加者別の役割
- ホットスポット・ホスト: カバレッジ報酬(Proof of Coverage)+データ転送報酬でMOBILE/IOTトークン獲得。都市部で月$10-50の報酬目安
- Helium Foundation: プロトコル運営主体。$50M Grant Programで戦略地域のホットスポット展開を補助
- Nova Labs: Helium Mobile事業会社。T-Mobile契約の交渉・MVNO運営・商用営業
4-3. 収益の偏り
Heliumの収益はHelium Mobile(米国)が90%超を占めます。IoTセグメントは2024-2025年を通じて成長停滞で、セグメント間の格差が大きいのが現状です。
5. HNT/MOBILE/IOT/DCトークン設計とBME
5-1. 4種類のトークンの役割
| トークン | 役割 | 性質 |
|---|---|---|
| HNT | 基軸トークン、全報酬の最終決済、バーン対象、ガバナンス投票 | 総供給上限223M、投機対象 |
| MOBILE | モバイル・ホットスポットのカバレッジ/データ報酬サブトークン | HNTへ変換可能 |
| IOT | LoRaWAN IoTホットスポット報酬サブトークン | HNTへ変換可能 |
| DC(Data Credits) | サービス利用の支払い単位 | $0.00001/DC固定、非投機、HNTバーンで発行 |
5-2. Proof of Coverage(PoC)コンセンサス
Heliumの独自コンセンサスであるPoC(Proof of Coverage)は、ホットスポット同士が電波到達を証明する仕組みです。
- ホットスポットは定期的にビーコンを送信
- 近隣ホットスポットが受信して証明
- 証明実績に応じてカバレッジ報酬を獲得
- 実データ転送があれば追加でData Transfer Rewardsを獲得
5-3. Burn-and-Mint Equilibrium(BME)の仕組み
HeliumのBMEはDePIN業界のスタンダードとして確立されています。
- 顧客利用増 → DC購入増
- DC発行のためHNTがバーンされる
- 新規HNTはホットスポットの報酬として発行される
- バーン量 > 発行量の月 = デフレ月(2025年10月、初達成)
2025年8月以降、Helium Mobile事業の純収益の100%をHNTバーンに回す方針(以前は80%)となり、月間バーン$2.3M超でデフレ圧力が定着しました。
6. ネットワーク成長モデル — IoT→5Gの二段階展開
6-1. Phase 1: IoTホットスポット爆発期(2019-2021年)
Heliumは2019年にIoT(LoRaWAN)ネットワークとしてスタート。$300-500のホットスポット機器を一般消費者に販売し、「設置するだけでトークンが稼げる」マーケティングで急速にノード拡大しました。
2021年のピーク時には80万台超のホットスポットを抱えましたが、IoTデータ転送の実需が追いつかず、「ホットスポットバブル」と批判される時期もありました。
6-2. Phase 2: Helium Mobile展開(2022年〜)
2022年、HeliumはMobile(5G/LTE)事業に進出。T-Mobileとのローミング統合でキャリアグレードのカバレッジを確保し、BtoCサブスクリプションモデルを確立しました。これが2024-2026年の成功の決定打です。
6-3. ノード拡大の3つの仕組み
- 認定製造業者プログラム(Licensing Program): Sensecap、Browan、Ubiquiti等の複数ベンダーがHeliumホットスポット機器を製造・販売
- 既存機器の活用: Ubiquiti AP等の転用プログラム。100Kモバイルホットスポットのうち約60Kはこの経路で参加
- HIP 84(2024年): 需要の高いエリアに報酬を集中させる「ターゲット・カバレッジ」メカニズム。戦略的な密度向上
6-4. Helium Foundation $50M Grant Program
Helium Foundationは$50M Grant Programを運営し、戦略地域(カバレッジ薄い都市・地方)でのホットスポット展開を財団補助しています。HIP 84(ターゲットカバレッジ)と並行で稼働することで、IoT/モバイルの地理的成長を加速しています。
7. ロードマップと2026年のプラン変更
- 2026年前半: Helium Mobileの新規加入拡大、既存$20プラン段階廃止完了
- MVNOパートナー拡大: T-Mobile以外のキャリア(AT&T、Verizon、新興MNO)とのローミング交渉
- 企業向け5G卸売の拡大: Covered 5Gブランドでのエンタープライズ販売強化
- IoTサブネット再活性化: HIP提案でIoTホスト経済性の改善を模索中
- Helium Pro(仮): ビジネスライン製品(企業向け低レイテンシ5G卸)の検討
7-1. 2026年1月のプラン変更
2026年1月27日、Helium Mobileの既存$20/月 Unlimitedプランが新規受付を終了しました。現行は以下の2プラン体系です。
- $15/月 Airプラン(データ量制限あり)
- $30/月 Unlimitedプラン
既存$20プランユーザーは継続利用可能ですが、この変更はSNS上で不満噴出を招きました。2026年のChurn(解約率)動向が注目されます。
8. 現在地点 — 2025年10月初のデフレ月達成
8-1. Wireless DePIN最大級のポジション
- 約80カ国、376K-400KアクティブIoTホットスポット、100K+モバイルホットスポット
- Helium Mobileは米国で670,000+加入者、月間新規14K(2026年3月)
- 月次収益$2.5M(過去最高)、Helium Mobile由来が90%以上
- Solana移行(2023年4月)後のガス効率で運用コスト最適化
8-2. 2025年10月、DePIN史上初のデフレ月
Heliumは2025年10月、月間バーン量が新規発行量を上回る「デフレ月」を初達成しました。これはDePIN全体でも歴史的なマイルストーンです。
要因は:
- Helium Mobile加入者の急成長(12万→67万に5倍超)
- 2025年8月からの100%収益バーン方針
- 月間$2.3M超のHNTバーンが定着
このデフレ達成は、HeliumがBME設計の有効性を実証した瞬間であり、DePIN全体の「Real Yield型」ナラティブの強化にも寄与しています。
9. 直面している6つの課題
- ユニットエコノミクスの偏り: 収益はHelium Mobile(米国)にほぼ集中。IoTセグメントは成長停滞で地域格差大
- 料金プラン変更のユーザー反発: 2026年1月の$20→$30プラン変更でSNS上の不満噴出。Churn(解約率)増加リスク
- 規制対応: FCC対応(米国)は既に完了だが、他国展開時の電波利用規制対応が重い
- ハードウェアサプライチェーン依存: 認定ホットスポット製造業者数社に集中。調達リスク
- トークン価格変動: MVNO利用が堅調でも、HNTマクロ相場に報酬経済性が連動してしまう
- T-Mobile依存: ローミング契約解消・値上げ交渉リスク。単一キャリア依存を解消するためMVNOパートナー拡大が急務
10. 日本市場への含意 — Local 5G × DePINの設計
10-1. 日本でHelium Mobile型の消費者直販は不可能
最初に結論を述べると、日本でHelium Mobile型のコンシューマー直販MVNOは実質不可能です。理由は日本の電波法が5G/LTEのキャリア免許をNTTドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天モバイルの4社に限定しているためです。
個人ホットスポットによるキャリア電波リレーは電波法違反となり、Helium Mobileの仕組みをそのまま日本に持ち込むことはできません。
10-2. 現実的な参入角度3つ
ただし、以下の3つの角度なら日本展開が可能です。
① Local 5G × DePIN
2020年から施行されたLocal 5G制度により、自治体・企業が独自5G帯を免許取得できるようになりました。
- 商業施設オーナーがLocal 5G免許を取得
- キャンパス内にHelium型のDePINメッシュを構築
- テナント・顧客向けのローカル5G/IoTを卸売
工場・商業施設・大学キャンパス・スタジアム等に適用可能です。
② LoRaWAN IoT特化
LoRaWANの920MHz帯は免許不要で利用可能です。電波法TELEC認証を取得した機器を使えば、以下の領域でDePIN展開できます。
- 農業(スマート農業、土壌モニタリング、畜産管理)
- 水産業(養殖場、漁船位置管理)
- 物流(コンテナ追跡、倉庫環境管理)
- スマートシティ(ゴミ箱、街灯、環境センサー)
国内既存プレイヤー(ソラコム、KDDI IoT、MOSAIC)との協業または競合関係になります。
③ XNET型のキャリア向けオフロード卸売
4大キャリアがトラフィック負荷軽減のためのオフロード先として、独立したホットスポット網を求める可能性があります。米国でXNETがAT&Tと1,300+ロケーションで契約したモデルと同様の日本版が検討可能です。
10-3. 難所
- 電波法の制約: 5G/LTEキャリア免許は4大キャリア独占
- MVNO経由の制約: MVNO事業登録+キャリア交渉が必須
- LoRaWAN機器の認証: 電波法TELEC認証が必要、機器コスト高
- DePIN型トークン報酬と資金決済法: 国内居住者への暗号資産報酬配布には交換業登録が必要。JPYC等のステーブルコイン代替を検討
10-4. XTELAの立ち位置
Local 5G事業者・IoTベンダー向けに「Helium型ネットワーク設計+トークン報酬設計+国内規制対応」をパッケージで支援します。特に以下の場面でお役に立てます。
- Local 5G免許取得後の分散ホットスポット経済設計
- JPYC連携のトークン報酬設計(資金決済法回避)
- LoRaWAN IoT商用展開(農業・物流向け)
- Helium Foundationとのパートナーシップ交渉
FAQ — よくある質問
Q1. Heliumのホットスポットを個人で設置して収益は出ますか?
A. 米国では初期投資$300-500に対し、都市部で月$10-50の報酬が目安です。IoTセグメントは2024-2025年を通じて報酬が低迷していますが、モバイル(米国のみ)は需要急増で経済性が改善中です。日本からの海外参加は暗号資産規制上の課題があるため、個別にご相談ください。
Q2. なぜ2025年10月のデフレ月達成が重要なのですか?
A. DePINにおいて「バーン > 発行」の月次達成は、ネットワークが自律的に価値を創出している証拠です。実需(Helium Mobile加入者増)が新規トークン発行を上回る状態を意味し、「Real Yield型DePIN」として機関投資家評価の大きな転換点となりました。HeliumはDePIN全体でこれを最初に達成したプロジェクトです。
Q3. 日本でHelium MobileのようなBtoCサービスは本当に無理ですか?
A. 4大キャリア免許独占下で、「個人ホットスポットで5G/LTE再配信」は電波法違反となるため、米国と同じモデルは実装できません。ただし、Local 5G免許を取得した商業施設内でのみ運用する「構内DePIN」や、LoRaWAN IoT特化は可能です。XTELAではこれら代替モデルの実現性評価から実装まで支援しています。
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Heliumを含む31のDePINプロジェクトの全体像、8カテゴリ分類、総合スコアリング、日本参入戦略については、DePIN完全マップ 2026|8カテゴリ・31プロジェクト総合スコアリング・日本参入の設計図をご覧ください。
Wireless DePINの他プロジェクト記事(XNET、Drop Wireless)、そして日本Compute DePINの代表例Aethir記事やRender記事も合わせてご参照ください。
XTELAでは、国内Local 5G事業者・IoTベンダー向けに「Helium型DePIN設計+日本規制対応パッケージ」を提供しています。Local 5G × DePIN、LoRaWAN IoT、Helium Foundationとの協業などについてのご相談は、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。初回のお問い合わせには1営業日以内に返信しています。
参考リンク
- Helium公式: https://helium.com
- Helium Mobile: hellohelium.com
- Helium Foundation: helium.foundation
- Messari State of Helium: Messari Q2 2025レポート
- CoinDesk Helium記事: CoinDesk
※本記事は2026年4月23日時点の公開情報に基づいて作成されています。Helium Mobile加入者数・料金プラン・バーン量は随時変動します。最新情報は公式サイトおよびMessariレポートをご参照ください。